刑事裁判の確定とは

2021-01-14

Aさんは、覚せい剤取締法違反の罪を犯した罪で懲役3年の実刑判決を受けてしまいました。Aさんとしては、有罪であることは認めつつも、刑の重さ(量刑)に不満を抱いており、控訴したいと考えています。Aさんは刑が確定してしまう前に控訴しなければなりません。

~ 刑事裁判のその後 ~

日本では三審制がとられており、第一審が終わっても、不服があれば「第一審→第二審→第三審」と続いていくことはご存知かと思います。第一審において「有罪」とされた場合、その後、どのような経過を辿るのかご存知でしょうか?事例では「控訴」「確定」という言葉が出てきましたから、その言葉の意味を中心に解説していきたいと思います。

~ 控訴とは ~

控訴とは、簡易裁判所や地方裁判所から上級の高等裁判所へ上訴することをいいます。自分は無罪と考えているが有罪と認定された(事実誤認)、有罪であることは認めるが刑の種類や重さに不満があること(量刑不当)などを理由に控訴することができます。なお、控訴できるのは裁判を受けた被告人だけと思われている方もおられるかもしれませんが、訴追する側の検察官も控訴することができます。したがって、被告人側、検察側双方が控訴するというケースもよくあることです。

* 控訴期間には期限がある *

控訴期間は14日間です。そして、その期間の起算日は、判決言い渡し日の翌日です。
たとえば、平成31年4月1日に「懲役3年」との判決の言い渡しがあったとします。すると、控訴期間の起算日は4月2日ですからその日を含めた14日間が控訴期間ということになります。したがって、4月15日が控訴期限日で、その翌日の4月16日が確定日ということになります。
では、4月15日が土曜日だった場合はどうなるでしょうか?この場合、控訴期間の末日が土日祝日、12月29日から31日、1月2日、3日の場合は期間に算入しないとうい決まりがありますので、翌月曜日の4月17日が控訴期限日で、その翌日の4月18日が確定日となります。

~ 確定とは ~

確定とは、判決の内容に対しこれ以上不服申し立てをすることができなくなった状態のことをいいます。被告側、検察側が上訴することなく、上訴期間(14日間)が経過して裁判が確定した場合を「自然確定」といいます。なぜ、自然というのかといいますと、自然確定以外の事由、すなわち、当事者(被告人、検察官)の意思で確定することができるからです。つまり、被告人、検察官は上訴権を放棄したり、すでにした上訴を「取り下げ」たりすることができます。一方が上訴権を放棄したり、上訴を取り下げれば、他方が上訴権を放棄したり、上訴を取り下げた時点で裁判が確定します。

* 確定したらどうなるの? *

刑が確定すると、刑の執行がはじまります。死刑,懲役,禁錮,拘留の場合,身柄を拘束されている方は、そのまま収容施設で刑に服することになります。他方、在宅のまま刑が確定した場合は、検察庁から出頭の要請を受けます。そして、検察庁に出頭したのち、拘置所などに収容されます。ここで出頭しなかった場合は、収容状という令状によって強制的に身柄を拘束されます。執行猶予付き判決を受けた方は,確定日から刑の猶予期間がはじまります。

罰金,科料(1万円未満)の場合は,判決の言い渡しと同時に釈放されています。そして,刑が確定すると罰金,科料を納付しなければなりません。ただし,仮納付の裁判がついた場合は,刑の確定を待たずとも,罰金,科料を納付することができます。

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