覚醒剤所持で保護観察付執行猶予

2022-03-29

覚醒剤所持で保護観察付執行猶予

覚醒剤を所持したことで問題となる罪と保護観察付執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、埼玉県蕨市の自宅にて覚醒剤を保管していた疑いで、埼玉県蕨警察署に逮捕されました。
その後、Aさんは覚醒剤取締法違反でさいたま地方検察庁により、さいたま地方裁判所に公判請求されました。
Aさんの両親は、初めての経験で今後どうなるか分からなかったため薬物事件に強い法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)

覚醒剤所持について

・覚醒剤所持とは

覚醒剤所持は、覚醒剤取締法第14条に規定されています。

覚醒剤取締法第十四条 覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。

覚醒剤取締法第14条では、覚醒剤を条文記載の資格を持っていない人が、覚醒剤を所持することを規制する法律です。
”所持”というのは、条文上の解釈では、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」とされています。
簡単に言えば、覚醒剤を物理的に持っている状態である必要はなく、その存在を認識し管理、支配可能な状態であれば”所持”と認定されることになります。
今回の事案のような、覚醒剤を自宅で保管していたという場合でも、通常”所持”と認定されることになります。

覚醒剤所持の罰則については、覚醒剤取締法第41条の2第1項に規定されています。

覚醒剤取締法第四十一条の一 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。

覚醒剤所持の罰則は、10年以下の懲役となっており、非常に厳しい罰則が規定されています。
また、上記の条文には覚醒剤所持がどのように成立するかも規定されています。
①覚醒剤を、②みだりに、③所持する
以上の要件を満たすことで覚醒剤所持は成立することになります。
②の”みだりに”とは、社会通念上正当な理由が認められないという意味です。

保護観察付執行猶予について

まず執行猶予とは、裁判官が被告人に対し、要件を満たした場合、猶予付きの判決を宣告することができる制度です。
しかし、執行猶予にはいくつかの条件があります。

1、(1)前に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと、又は、
  (2)前に禁錮上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと。
2、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しをする場合。
3、執行猶予を相当とするに足りる情状があること。

以上の条件を満たすことで、裁判官は刑の執行を猶予するという判決を宣告することができます。

この執行猶予に保護観察が付いたものが保護観察付執行猶予と呼ばれるものです。

保護観察とは、社会に戻る中で更生できるように、保護観察官や保護司による支援、指導を行っていき、再犯防止の為に設けられた制度です。
初犯の場合は、裁判官が保護観察を要すると判断した時など、裁判所の裁量で付することができます。
執行猶予中の再犯事件で執行猶予になった場合は、再度の執行猶予として、保護観察を付さなければならないとされています。
今回の事案のような覚醒剤などの薬物事件では、再犯率が高い為、初犯であっても保護観察付執行猶予になる可能性があります。
保護観察の対象者には、事前に遵守事項と呼ばれる約束事が定められており、それを破れば執行猶予が取り消される可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では覚醒剤所持等の薬物事件に強い弁護士が数多く在籍しております。
今回の事案のような薬物事件で執行猶予を目指したい、保釈をお願いしたい等ございましたら、0120-631-881までお電話ください。
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