覚せい剤使用で自首
覚せい剤使用で自首
神奈川県横浜市栄区在住のAさん(40代男性)は、学生時代の友人らとの同窓会があった際に、ある友人から覚せい剤を譲り受けて、これを使用してしまった。
Aさんは覚せい剤使用後に、自己の行為を深く反省して、神奈川県栄警察署に自首しようと考えている。
Aさんは警察に自首する前に、刑事事件に強い弁護士と法律相談して、自首するべきか自首しないべきかの判断や、自首した際にどのように警察の取調べで供述していくかを、弁護士と綿密に打合せした上で、今後の弁護対応を検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~自首により刑罰が軽くなる要件とは~
薬物使用事件などの刑事事件において、事件の発覚前に警察に自首した場合には、その後の刑事処罰が軽くなる可能性があります。
自首が成立して、刑罰軽減が実現するためには、「捜査機関に発覚する前の申告であること」「自発的申告であること」「自己の訴追を含む処分を求めること」という各要件を満たす必要があります。
・刑法 42条1項(自首等)
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
警察側に、犯行事実が全く発覚していない場合や、犯行事実は発覚しているけれども犯人が誰かが発覚していない場合には、「捜査機関に発覚する前」という要件を満たし、自首が成立します。
逆に、犯行事実や犯人は発覚しているけれども、犯人の所在が分からないといった場合には、自首は成立しません。
「自発的申告」の要件とは、自分から進んで捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告した場合に、自首が成立することをいいます。
逆に、警察から嫌疑をかけられて取調べを受けている最中に、自己の犯罪事実を自供した場合には、自首は成立しません。
ただし、取調べを受けている事件とは別の余罪について取調べ最中に自供した場合に、その余罪が捜査機関側に発覚前のものであれば、余罪の自首は成立します。
「自己の訴追を含む処分を求めること」が、自首成立の要件となります。
逆に、犯行の一部を殊更に隠すような申告であったり、自己の責任を否定するような申告であるときは、自首は成立しません。
自首の成立要件を満たして、自首が成立した場合でも、必ず刑罰が軽くなるというわけではなく、裁判所が刑罰を軽くするかどうかを判断する形になります。
他方で、もし自首の要件を満たさず自首が成立しないようなケースであっても、被疑者が反省して、自分から警察に犯罪事実を申告したような場合には、裁判官や検察官が刑事処罰の量刑を判断する際に、被疑者が反省している事情が考慮されて、刑罰を軽くする方向に影響する可能性はあります。
覚せい剤取締法違反による覚せい剤使用罪の刑事処罰は、営利目的ではない場合、「10年以下の懲役」とされています
覚せい剤使用罪の法定刑は「懲役刑のみ」であるため、起訴されれば裁判となり、執行猶予付きの懲役刑判決が出るか、あるいは、刑務所に入ることとなる実刑判決が出る可能性があります。
執行猶予付き判決を得るためには、被疑者本人の過去の前科前歴の有無が大きく影響するとともに、今回の事件の経緯を、警察での取調べでどう供述したかという事情や、今後の薬物更生に向けた治療方針が整っている事情などが、判決に影響すると考えられます。
覚せい剤使用事件で自首の法律相談を受けた弁護士は、自首することによるメリット・デメリットについて検討し、自首が成立して刑罰減軽されるかどうかや、今後の刑事処罰の見通しや、警察の取調べにおいてどのように供述していくかを、被疑者本人と綿密に打合せした上で、その後の弁護方針について法律相談いたします。
神奈川県横浜市の覚せい剤使用事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。