(事例紹介)10代の少年による覚醒剤・大麻所持事件の事例

2022-09-27

(事例紹介)10代の少年による覚醒剤・大麻所持事件の事例

~事例~

兵庫県警は尼崎市に住む16歳の少年ら3人を覚醒剤取締法違反などの疑いで神戸地検尼崎支部に送致しました。
覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反の疑いで送致されたのは尼崎市の16歳から18歳の少年ら3人です。
警察によりますと、3人は2021年5月から9月、尼崎市内で覚醒剤や指定薬物が含まれた錠剤や大麻草を所持したり、高校生に液体10本を大麻として譲り渡したりするなどした疑いが持たれています。
少年らはいずれも容疑を否認しているということです。
(後略)
(※2022年9月15日20:11サンテレビNEWS配信記事より引用)

~10代による違法薬物事件~

今回取り上げた事例は、10代の少年ら3人が、覚醒剤取締法違反大麻取締法違反の容疑で送検されたという報道です。
覚醒剤大麻は、所持しているだけで違法となる違法薬物であり、違法薬物であると認識しながら所持していたのであれば、覚醒剤取締法違反大麻取締法違反となります。

覚醒剤取締法第41条の2
第1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻取締法第24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

20歳以上の者による覚醒剤所持覚醒剤取締法違反事件大麻所持大麻取締法違反事件であれば、法律に定められている刑罰で罰金刑のみの規定がないことから、起訴されれば必ず刑事裁判になるということになります。
しかし、今回取り上げた事例のように、10代の者が起こした少年事件であれば、少年法に則って手続が進められることから、原則としてはこれらの刑罰は科せられず、公開の法廷に立って裁判を受けることはないということになります(いわゆる「逆送」の事例など、一部例外は存在します。)。

少年事件の手続では、警察や検察による捜査を受けた後、事件が家庭裁判所へ送られ、そこでさらに調査を受けた後に審判が開かれ、保護処分となるという流れが取られることが一般的です。
今回取り上げたような覚醒剤大麻のかかわる違法薬物事件であったり、事件関係者が複数人いる少年事件であったりすると、物理的な証拠隠滅の可能性や関係者との接触による証拠隠滅の可能性を考慮され、捜査段階の時点で逮捕・勾留による身体拘束を受けることもあります。
また、少年事件では、家庭裁判所に送致された後にも「観護措置」という身体拘束を受ける可能性がありますが、今回の事例のように、複数人で一緒に犯罪をした疑いのある場合には、より専門的に調査の必要があると判断されて「観護措置」を取られる可能性もあります。

その後の審判は、20歳以上の者の起こした刑事事件と異なり、非公開で開かれます。
審判では、少年に適切な処分が決められることとなりますが、その処分は原則として「保護処分」と呼ばれる、その少年の更生のための処分となります。
保護処分としては、少年院などへの施設送致や、保護司と定期的に面接するなどしながら一定期間を過ごす保護観察などが挙げられます。
例えば、今後の生活をどのように見直すのか、少年本人やその家族の事件の受け止めはどのようにできているのかといったところを審判で確認し、それまでの調査の結果などとも照らし合わせて処分が決定されるということになります。

覚醒剤大麻といった違法薬物事件は、10代の少年少女とは結び付きにくいかもしれません。
しかし、SNSの発達などもあり、10代の少年少女が覚醒剤や大麻といった違法薬物事件に関わってしまうケースもあります。
少年事件の手続は特殊な面もあり、当事者だけでなくご家族なども不安を感じられることが予想されます。
もちろん、本人が容疑を否認しているような場合には、捜査段階からのサポートも重要です。
いずれのケースでも、早い段階から弁護士に相談しておくことで手続や権利の把握をした状態で刑事手続や少年事件の手続に臨むことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、20歳以上の方の刑事事件だけでなく、10代の方の少年事件も取り扱っています。
覚醒剤大麻などの違法薬物事件の取り扱いもございますので、お子さんが薬物事件で逮捕されてしまった、覚醒剤大麻の容疑で子どもが捜査されているなどのケースでお困りの際は、お気軽にご相談ください。