【事例解説】違法薬物を入れたカバンを落としてしまい警察に届けられた!
違法薬物を入れたカバンを落としてしまい警察に届けられたことで刑事事件へと発展したケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、居酒屋で開かれた友人たちとの飲み会で途中で記憶をなくしてしまうほどお酒を飲み過ぎてしまい、朝、自宅のベッドの上で目を覚ました。
目を覚ましたAさんは、飲み会に持っていったカバンが自宅にないことに気が付き、昨夜介抱してくれた友人達にカバンについて聞いてみるも、友人達もカバンがどこにあるかがわからなかったので、警察にカバンの遺失物届を出しました。
後日、警察からAさんの元にカバンが落とし物として届けられたという連絡をもらい、警察にカバンを受け取りに行ったところ、その際に行われたカバンの中身の確認の際に、Aさんのカバンから、危険ドラッグの成分である合成カンナビノイドであるHHCHが含まれてグミが見つかったことから、Aさんは薬機法違反の疑いで警察の捜査を受けることになりした。
(この事例はフィクションです)
カバンを落としたことをきっかけに刑事事件に
警察ではカバンや財布といった落とし物が届けられると、落とし主が分かる物がないか中身を確認することがありますが、落とし物として届けられたカバンの中に入っている違法な薬物が警察に見つかってしまうと、刑事事件として警察の捜査を受けることになります。
今回の事例は、そのような落とし物として届けられたカバンの中に違法な成分である合成カンナビノイド(HHCH)が含まれたグミが入っていたことが警察が知ったことで、薬機法違反の疑いで警察の捜査を受けることになったというものです。
薬機法違反とは
薬機法(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます)の第2条15号では、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを「指定薬物」としており、厚生労働省が出す省令によって、「指定薬物」に該当する具体的な物質名を規定しています。
冒頭の事例で問題となっている合成カンナビノイド(HHCH)は、昨年2023年の11月ごろに、HHCHが含まれたグミを口にした後に体調不良になったというケースが発生したことをきっかけに、12月2日から新たに「指定薬物」として規定されているものになります。
このような「指定薬物」は、薬機法76条の4において、疾病の診断・治療といった医療等の用途以外で所持することが禁止されていて、この規定に反して「指定薬物」を自分で使用するために所持すると、薬機法84条28号によって、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑が併科される可能性があります。
薬機法違反の疑いで警察の捜査を受けられている方は
薬機法違反の疑いで警察の捜査を受けることになった方や、警察から薬機法違反の捜査のために呼び出しを受けて、今後どうしたら良いかが分からず不安になっているという方は、弁護士に相談して捜査の対応についてのアドバイスや、事件の見通しがどのようなものになるかといったことについてのアドバイスなどを貰われることをお勧めします。