外国人の覚せい剤所持事件で無罪主張
外国人の覚せい剤所持事件で無罪主張
~ケース~
神奈川県横浜市中区在住のフィリピン国籍で飲食店を経営しているAさんは、友人であるXさんからハンドバッグを譲ってもらった。
ある日,Aさんがお酒に酔って街を歩いていた際に,神奈川県加賀町警察署の警察官から職務質問を受けた。
Aさんは職務質問に応じ,任意の所持品検査にも応じた。
所持品検査の際,Xから譲ってもらったハンドバッグが二重底になっており,内側からパックに小分けされた覚せい剤が発見された。
Aさんはその場で覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまった。
在留資格の関係で強制退去となってしまわないか心配になったAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
(フィクションです)
~在留資格~
外国人の在留資格については、出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)に規定されています。
加えて,強制退去となる事由も入管法第24条に規定されています。
ただし、条文は「本邦からの退去を強制することができる」となっていますので,強制退去事由に該当した場合に直ちに強制退去とならない場合もあります。
実際の強制退去事由も24条に規定されており,無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合(執行猶予となった場合を除く)には強制退去事由となると規定されています(24条4号リ)。
しかし,薬物事件においては執行猶予の有無に関係なく,有罪判決を受けた場合は強制退去事由であると規定されています(24条4号チ)。
そのため,Aさんが仮に覚せい剤取締法違反で有罪となってしまった場合,執行猶予が付されたとしても強制退去させられてしまう可能性があります。
~無罪を主張~
覚せい剤に限らず、多くの薬物事件は初犯であれば執行猶予付きの判決となります。
しかし,覚せい剤取締法違反の場合,上述のように執行猶予が付されても強制退去事由に該当してしまいます。
そのため,Aさんが強制退去とならないためには、無罪判決もしくは不起訴処分を勝ち取る必要があります。
今回のケースのような事件では,Aさんは否認することになりますので,逮捕後勾留されてしまう可能性が高くなる可能性があります。
また、Xさんが自ら覚せい剤を隠していたと供述することはあまり考えられませんから,正式な刑事裁判で事実を争う形になる可能性は高いでしょう。
刑事裁判で無罪を主張する場合は,犯罪事実そのものがなかった(冤罪である),もしくは罪とならない事由があることを主張していきます。
今回のケースで、Aさんは覚せい剤自体を所持してしまっていたので、犯罪事実そのものがなかったと主張することは出来ません。
一方,刑法では故意処罰が原則であるため(刑法38条),Aさんは覚せい剤所持に関する故意・認識がなかったことを主張します。
覚せい剤所持には過失の場合の処罰規定はありませんので,故意がなかったと刑事裁判で認められればAさんは無罪となります。
裁判では、どのように主張を組み立てていくかによって主張が認められる場合と認められない場合に分かれてしまうことがあります。
今回のケースのような事件の場合,主張が認められるかどうかが有罪となるか無罪となるかの分かれ目となります。
無罪を主張したいような場合には、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に弁護を依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件に限らず,身に覚えのない事で逮捕されてしまったような場合には0120-631-881までご相談ください。
警察署での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(神奈川県加賀町警察署までの初回接見費用:35,500円)