態様別―製造・栽培
1 製造・栽培の意義
(1)麻薬、向精神薬の製造
麻薬の製造は、化学的合成によって麻薬以外のものから麻薬を作り出すことのほか、麻薬を精製する(麻薬から不純物を取り除いて純粋な麻薬にする)こと、および麻薬に化学的変化を加えて他の麻薬にすることをいいます。
向精神薬の製造も同様です。
このような方法での製造を「狭義の製造」といいます。
(2)覚醒剤、覚醒剤原料の製造
覚醒剤の製造は、狭義の製造のほか、化学的変化を加えないで他の覚醒剤にすること(製剤)、および覚醒剤を分割して容器に収めること(小分け)を含みます。
覚醒剤原料の製造も同じです。
製剤や小分けは含まれますが、一定の処方に従い、特定人の特定の疾病に対する薬剤を調製する(調剤)は含まれていません。
なお、麻薬及び向精神薬取締法では、製剤や小分けは製造とは別個に処罰の対象とされています。
(3)栽培
麻薬原料植物や大麻、けしについては、「栽培」が禁止されています。
ここでいう「栽培」とは、種まきから収穫に至るまでの育成行為をいいます。
2 法定刑
①無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科
・覚醒剤(営利)、ヘロイン(営利)
②1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
・覚醒剤原料(営利)、麻薬原料植物(営利)、あへん(営利)、コカイン(営利)、MDMA(営利)
③1年以上の有期懲役
・覚醒剤(非営利)、ヘロイン(非営利)
④1年以上10年以下の懲役
・コカイン(非営利)、MDMA(非営利)、麻薬原料植物(非営利)、あへん(非営利)
⑤10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
・大麻(営利)
⑥10年以下の懲役
・覚醒剤原料(非営利)
⑦7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
・向精神薬(営利)
⑧7年以下の懲役
・大麻(非営利)
⑨5年以下の懲役
・向精神薬(非営利)
⑩5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(営利)
⑪3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(非営利)
3 裁判員裁判について
営利目的の製造の場合には、裁判員裁判対象事件となります。
裁判員裁判では、連日の集中審理が行われますので、そのために入念な事前準備が必要となります。
弁護士としては、公判前整理手続きの中で、積極的に証拠の開示を求めるとともに、弁護側からの主張を立て、何処が争点となるのかをしっかりと把握したうえで、公判での訴訟活動に向けた準備を行う必要があります。
裁判員裁判では、集中した審理を行うために、公判までに膨大な資料を精査し、何が有利な証拠となるのかを見極めたうえで、しっかりとした主張構造を整える必要があります。
裁判員裁判において、充実した弁護を行うためには、高い弁護技術が求められます。
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