【所持罪】麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕

2021-09-30

麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例:Aは、駐車場の自車内において薬物(いわゆるLSD)を所持していた。
警察官は、Aを麻薬及び向精神薬取締法違反(所持)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~麻薬及び向精神薬取締法~

一口に薬物といっても、これを取締り対象とする法律は区々であり、また薬物の作用にも様々な特色があります。
本件でAが所持していたとされる規制薬物はLSDと呼ばれるもので、規制薬物の中でも幻覚剤と呼ばれるものになります。
では、Aが所持していたLSDのような薬物は、具体的にどの法律によって規制されているのでしょうか。

麻薬及び向精神薬取締法は、その名のとおり主として「麻薬」(や向精神薬)にあたる薬物を取り締まることを目的とした法律です。
同法は、2条1号に同法によって規制対象となる「麻薬」について別表第1によって定める物としています。
そこで、同別表をみると、別表第1の75号は「前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの」も同法の規制対象としての「麻薬」に当たるものとしており、本件LSDもこの75号によって規制対象たる「麻薬」に当たることになります(政令の詳細はここでは省略します)。
次に、罰則(麻薬及び向精神薬取締法 第7章 罰則)をみてみましょう。

第66条 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者……は、7年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
3 前2項の未遂罪は、罰する。

ここでいう「ジアセチルモルヒネ等」とは、いわゆるヘロインのことを指すため、本件のLSDは「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」として、単純所持の場合は66条1項の罰則の対象とされています。
また同法の特色として、上記3項のように未遂にも罰則規定が存在する点に注意が必要です。
以上より、「麻薬」として規制されているLSDを所持していたAには、麻薬及び向精神薬取締法違反の所持罪が成立することがお分かりになったかと思います。

~麻薬及び向精神薬取締法違反における弁護活動~

本件のような麻薬及び向精神薬取締法違反事件では、所持罪であっても起訴される可能性は極めて高く、刑事裁判を見据えた弁護活動を行うことになると考えられます。
麻薬は覚醒剤などと同じく依存性が強いことから再犯可能性も高いとされており、依存からの脱却への道筋を示すことも重要な弁護活動の一環です。
薬物依存は刑罰以上に治療が必要であるとの認識はもはや常識であり、自助グループや医療専門家との連携は不可欠といえます。
したがって、弁護士としては、これらの専門家などを被疑者・被告人と繋げて再犯可能性の低い環境を整えていくことも、薬物事件の弁護活動としての重要性を帯びることになります。
この場合、更生可能性や更生への本人の意欲を示し、回復への道筋の具体的な主張立証が求められることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、麻薬及び向精神薬取締法違反事件などを含めた薬物事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
麻薬及び向精神薬取締法違反事件(所持)で逮捕された方のご家族は、即時対応可の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。