大麻所持の疑いで逮捕
今回は、自宅で大麻を所持していた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
ある日、神奈川県川崎市のAさんの自宅玄関に来客があったので応対すると、多数の警察官でした。
ドアを開けると捜索差押許可状を示され、自宅の捜索が始まりました。
キッチンの食器棚に収納していた大麻が見つかったため、Aさんは神奈川県高津警察署に同行され、取調べを受けました。
取調べの後、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~大麻所持罪とは?~
大麻取締法第24条の2第1項によれば、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」とされており、大麻の所持行為が禁止されていることがわかります。
また、同条第2項によれば、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する」とされています。
Aさんが大麻を所持するに至ったきっかけ、押収された大麻の量によっては、後者の嫌疑をかけられる可能性もあります。
~逮捕後の手続~
犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受けた後、弁解を録取されます。
当番弁護士をこのタイミングで頼むこともできます。
取調べでは、大麻以外の薬物の所持など、余罪の有無についても尋ねられる可能性が高いと思われます。
ケースの大麻所持事件の捜査が終わり、釈放される場合であっても、別の件で改めて逮捕されてしまう可能性も考えられます。
~検察への送致~
取調べ後、留置の必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
~勾留の判断~
勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間勾留が延長されます。
大麻所持事件をはじめとする薬物事件においては、なかなか勾留をつけずに釈放を実現することは難しいです。
多くの場合、法律上可能なすべての期間、勾留されてしまうことが多いようです。
~薬物事件の身柄解放活動~
起訴された後は、保釈を請求することができます。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。
裁判所は、保釈の請求があったときは、権利保釈の除外事由(重罪事件である、罪証隠滅のおそれがあるなど)がある場合を除き、原則として保釈を許可しなければなりません(権利保釈)。
また、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(裁量保釈)。
さらに、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求によりまたは職権で、保釈を許さなければなりません(義務的保釈)。
なお、義務的保釈は実務上、ほとんどありません。
再犯防止に努めていることをアピールするためには、専門の薬物依存治療プログラムを開始することが効果的ですが、その実現のためにはまず保釈を実現しなければなりません。
初犯の大麻所持事件においては、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が十分あります。
弁護士のアドバイスを受けながら有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。