覚せい剤の「使用」とは何か
覚せい剤の「使用」とは何か
東京都新宿区に住むAさん(23歳)は、仕事や職場での人間関係からストレスが溜まっていました。そんなとき、Aさんは、久しぶりに覚せい剤の前科を多数有する地元の先輩Bさん(30歳)と会いました。AさんとBさんは覚せい剤のことで話が盛り上がりました。そして、AさんはBさんに最近の悩みなどについて相談すると、覚せい剤を勧められました。Aさんははじめ躊躇しましたが、Bさんからあまりにしつこく勧められたため、「1回くらいならいいや」という気持ちでBさんの誘いに乗り、Bさんから覚せい剤を譲り受けました。Aさんは覚せい剤を使うのが初めてだったため、Bさんに「覚せい剤を注射してくれ。」と頼んだところ、Bさんはこれを快く引き受けました。そして、Aさんは自宅で、Bさんから覚せい剤入りの注射器を打ってもらいました。数日後、Aさんは警視庁戸塚警察署に覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまいました。覚せい剤を注射してもらった数日後、Aさんが自宅で暴れ、家族が戸塚警察署に通報したことがきっかけでした。Aさんの家族は、Aさんとの接見を薬物事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 覚せい剤は違法! ~
覚せい剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。
また、薬物の乱用による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こします。また、覚せい剤は暴力団組織などの犯罪組織の活動資金のネタとしても使われており、その活動資金を基に新たな犯罪、新たな被害者を生み出しかねません。
このように、覚せい剤は、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。
こうしたことから、覚せい剤、麻薬等の使用、所持等は法律により厳しく禁止されています。
覚せい剤取締法19条 左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
一 覚せい剤剤製造業者が製造のため使用する場合
二 覚せい剤剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
三 覚せい剤剤研究者が研究のため使用する場合
四 覚せい剤剤施用機関にお取締法いて診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
五 法令に基いてする行為につき使用する場合
覚せい剤取締法41条の3 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
一 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
~ 覚せい剤取締法における「使用」とは? ~
覚せい剤取締法でいうところの「使用」とは、覚せい剤等を用法に従って用いる、すなわち「薬品」として消費する一切の行為をいいます。
使用方法に制限はなく、水に溶かした覚せい剤を注射器によって血管に注入する方法や、覚せい剤の結晶を火に炙って、気化した覚せい剤を吸引する方法、覚せい剤を飲み物に溶かすなどして経口摂取する方法などがあります。
なお「使用」には
①他人の身体に覚せい剤を注射する行為
②他人に注射してもらう行為
も含まれます。そして、通常、①の場合、自己の身体に注射された人も、②の場合、他人の身体に注射した人も覚せい剤使用罪の共犯として処罰されます。
~ 覚せい剤使用罪の量刑 ~
初犯者に対する量刑は
懲役1年6月
で、執行猶予判決が付くのが相場です。
しかし、Aさんに前科がある場合は、さらに重くなる可能性はあります。
前の前科からどの程度の期間を経て今回の犯行を犯したか、にもよるでしょう。また、前科の種類でも異なるでしょう。前の前科が同じ薬物事犯である場合は「実刑」となる可能性も否定しきれません。異なる前科であっても、執行猶予期間中であったり、累犯前科(刑法56条)である場合はやはり実刑となる可能性が高いでしょう。
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