薬物の種類・規制する法律

日本においては、薬物の全般を規制している一般法は存在しません。それぞれの薬物の種類ごとに法律が制定され、取締りがされています。
具体的例(主な薬物4法)を表すと、下記のとおりです。

●覚醒剤:「覚醒剤取締法」
●大麻:「大麻取締法」
●麻薬等:「麻薬及び向精神薬取締法」
●あへん:「あへん法」

以下では、薬物の種類ごとの法定刑を記載します。
また、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(麻薬特例法)や「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)も薬物について規制していますので、併せて紹介します。

 

1 覚醒剤取締法

規制対象 違反の態様 罰則
覚醒剤 輸入・輸出・製造 (非営利) 1年以上の有期懲役
(営利) 無期又は3年以上の懲役
   情状により1000万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持・使用 (非営利) 10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
覚醒剤原料 輸入・輸出・製造 (非営利) 10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持・使用 (非営利) 7年以下の懲役
(営利) 10年以下の懲役
   情状により300万円以下の罰金を併科

 

2 大麻取締法

規制対象 違反の態様 罰則
大麻 栽培・輸入・輸出 (非営利) 7年以下の懲役
(営利) 10年以下の懲役
   情状により300万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持 (非営利) 5年以下の懲役
(営利) 7年以下の懲役
   情状により200万円以下の罰金を併科

 

3 麻薬及び向精神薬取締法

規制対象 違反の態様 罰則
ヘロイン 輸入・輸出・製造 (非営利) 1年以上の有期懲役
(営利) 無期又は3年以上の懲役
   情状により1000万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・交付・所持・施用・廃棄・受施用 (非営利) 10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
その他の麻薬
(コカイン・MDMA等)
輸入・輸出・製造 (非営利) 1年以上10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持・施用・施用のための交付 (非営利) 7年以下の懲役
(営利) 1年以上10年以下の懲役
   情状により300万円以下の罰金を併科
向精神薬 輸入・輸出・製造・製剤 (非営利) 5年以下の懲役
(営利) 7年以下の懲役
   情状により200万円以下の罰金を併科
譲渡・譲渡目的所持 (非営利) 3年以下の懲役
(営利) 5年以下の懲役
   情状により100万円以下の罰金を併科
麻薬原料植物
(マジックマッシュルーム等)
栽培・輸出・輸入 (非営利) 1年以上10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持 (非営利) 7年以下の懲役
(営利) 1年以上10年以下の懲役
   情状により300万円以下の罰金を併科

 

4 あへん法

規制対象 違反の態様 罰則
あへん
(けし、けしがら)
栽培・採取・製造・輸入・輸出 (非営利)1年以上 10年以下の懲役
(営利) 1年以上の有期懲役
   情状により500万円以下の罰金を併科
譲渡・譲受・所持 (非営利) 7年以下の懲役
(営利) 1年以上10年以下の懲役
   情状により300万円以下の罰金を併科
吸食 7年以下の懲役

 

5 麻薬特例法

規制対象 違反の態様 罰則
規制薬物
(麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら、覚醒剤)
業として行う規制薬物の不法輸入等 無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金
薬物犯罪収益等仮装・隠匿 5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金
又はこの併科
(予備)
2年以下の懲役又は50万円以下の罰金
薬物犯罪収益等収受 3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金
又はこの併科
規制薬物輸出入目的で規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品の輸出入 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
規制薬物の譲渡、譲受、所持を犯す目的で、薬物その他の物品の譲渡、譲受又は交付を受け若しくは取得した薬物その他の物品を所持 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
薬物犯罪等を実行、規制薬物を濫用することのあおり又は唆し 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

 

6 毒物及び劇物取締法

規制対象 違反の態様 罰則
シンナー等有機溶剤 無登録販売等 3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金
又はこの併科
摂取・吸入・知情販売・授与 2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金
又はこの併科

 

7 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性等の確保に関する法律(薬機法、旧薬事法)

規制対象 違反の態様 罰則
指定薬物 製造・輸入・授与・販売・授与目的貯蔵・陳列・所持・使用 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金
又はこの併科
(業として行ったもの)
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金
又はこの併科

 

 

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