大麻所持事件における身柄解放活動

2019-12-07

大麻所持事件における身柄解放活動

今回は、大麻所持事件における身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、福岡県久留米市内の道路を自動車で走行中、後ろからパトカーに呼び止められました。
パトカーから警察官が降りてきて、「車の中を見せて欲しい」と言われました。
Aさんが承諾せずにいると、「何かやましいことがあるのか」「やましいことがないなら見せられるはずだ」と言われたので、渋々車の中を見せました。
すると、ダッシュボードから以前に購入した大麻様の物が発見され、簡易検査を行ったところ、大麻であることを示す反応が検出されました。
Aさんは大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~大麻取締法違反の罪について解説~

ケースの場合は、大麻所持罪現行犯逮捕されたものと思われます。
大麻所持罪は、大麻をみだりに所持した場合に成立しうる犯罪です(大麻取締法第24条の2第1項)。

都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する「大麻栽培者」(大麻取締法第2条2項)、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する「大麻研究者」(大麻取締法第2条3項)といった大麻取扱者(大麻取締法第2条1項)による「所持」は大麻所持罪にあたりません(大麻取締法第3条1項)。

Aさんには上記のような除外事由がないのに、車の中で大麻を所持していたものですから、大麻所持罪が成立する可能性は高いと思われます。

~逮捕後はどうなるか?~

警察署に引致された後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受けた後、弁解を録取されます。
その後の取調べでは、大麻をいつ、どこで入手したのか、大麻を所持するに至った動機、他の薬物犯罪(覚せい剤や麻薬など)を行っていないか、などといったことについて、詳しく尋ねられることが見込まれます。

警察がAさんを留置する必要があると考えた場合、逮捕時から48時間以内に検察へ送致しなければなりません。
事件によっては、逮捕されたものの留置されずに釈放される場合もありますが、薬物事件に関しては身体拘束が長引く傾向にあります。
そのため、留置する必要があると判断される可能性は高いでしょう。

検察へ送致された後は、検察官が身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを決定します。

勾留を請求され、裁判官が勾留決定を出すと、勾留請求の日から10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または処分を保留して釈放するかを決めます。

~身柄解放活動を弁護士に依頼~

上記の通り、逮捕勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受ける場合があることがわかります。
Aさんについた弁護士は、なるべく早期に外に出ることができるよう尽力します。

(身柄解放活動の具体例)
・勾留を阻止する活動
→検察官や裁判官に対し、勾留請求勾留決定をしないよう働きかけます。

・勾留決定を争う活動
→「準抗告」や「勾留取消請求」を行い、釈放を目指すことが考えられます。

・勾留延長を阻止する活動
→検察官や裁判官に対し、勾留延長をしないよう働きかけます。
勾留延長決定がされた場合は、その決定に対する「準抗告」をすることが考えられます。

薬物事件の場合は勾留までされることが多いですが、共犯者がいない単純な所持事件であれば、勾留延長されずに起訴され、すぐに保釈により出られるよう目指すことになる可能性が高いでしょう。

・保釈請求
→起訴された後は、保釈請求を行うことができます。
保釈を許す決定がなされると、保釈保証金を納付し、身柄解放を実現することができます。

~身柄解放を実現した後にすべきこと~

上記の方法で身柄解放を実現した場合であっても、事件自体はまだ解決していません。
起訴されてしまっている場合、あるいは、起訴が見込まれる場合には、公判に備え、薬物依存の治療プログラムを受けることをおすすめします。
判決を言い渡す裁判官は、Aさんが再度薬物犯罪に手を染めずに生活できるかどうか、という点を気にかけています。
薬物依存の治療を受けていることを公判で主張することにより、Aさんが在宅でも薬物を断ちきることができる、ということを裁判官に訴えかけることができます。

上記の弁護活動を通じて、執行猶予付きの判決を得ることができれば、刑務所に行かずにすみます。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら