大麻再犯事件で実刑判決後の仮釈放
薬物再犯事件の量刑と仮釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府堺市在住のAさん(40代女性)は、大麻所持の再犯事件を起こして大阪府西堺警察署に逮捕され、その後に行われた裁判で、弁護士とともに執行猶予獲得に向けた主張立証活動を行ったが、Aさんの前科が複数あることが裁判官に重要視されて、懲役刑の実刑判決を受けた。
Aさんは刑務所に入ることになったが、入所後の薬物依存克服のための治療にAさんが尽力したことが評価されて、懲役刑の刑期満了を待たずに、Aさんは仮釈放されることとなった。
(事実を基にしたフィクションです)
~薬物再犯事件の刑罰の量刑判断~
薬物事件の刑罰量刑が判断される際には、同様の薬物前科,薬物前歴の有無や、前回の事件から今回の事件まで何年経過しているかといった事情が、大きく影響します。
初犯の薬物事件では「不起訴処分」や「罰金刑」で済んだような場合でも、2回目、3回目の薬物再犯事件を起こせば、裁判の公判が行われて「執行猶予付きの懲役刑判決」を受けたり、最悪の場合には「懲役刑の実刑判決」を受けて、刑務所に入ることになります。
前回の事件で「執行猶予付きの懲役刑判決」を受けた者が、前回の判決から5年以内に再犯判決を受ける場合には、執行猶予を付けることができないとされており、裁判では必ず実刑判決を受けて、刑務所に入ることになります。
また、前回の執行猶予判決から5年以上経過している場合であっても、「執行猶予の期間満了後に何年経過しているか」という事情が、執行猶予が付くか付かないかの判断に、大きく影響します。
薬物再犯事件を起こした場合には、少しでも早くに弁護士に相談して、今後の警察取調べにおいて薬物再犯の経緯をどのように供述すべきかを検討することが、まずは重要となります。
その上で、裁判となったときに、被告人の薬物依存克服のための通院治療計画や、周囲の治療に向けた環境作り、被告人本人の薬物依存克服に向けた強い意思を、弁護士の側から主張することで、刑事処罰軽減に向けた弁護活動を行い、執行猶予付き判決の獲得などを目指します。
~仮釈放とは~
しかし、それでも薬物前科が複数あることで、実刑判決を受けて刑務所に入った場合には、ある程度の刑期を善良に模範的に過ごした者に対する「仮釈放」という制度があります。
・刑法 28条(仮釈放)
「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」
刑法では「有期刑は刑期の3分の1経過後、無期刑は10年経過後」が仮釈放の条件とされていますが、実務上は全国8箇所の地方更生保護委員会の処分により、「有期刑は刑期の3分の2以上経過後、無期刑は20年以上経過後」に仮釈放されるケースが多いようです。
仮釈放後は、保護司の保護観察を受けながら、更生に向けて社会の中で暮らしていくことになります。
・仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則 32条(仮釈放許可の基準)
「仮釈放は、次に掲げる事由を総合的に判断し、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。
一 悔悟の情が認められること。
二 更生の意欲が認められること。
三 再犯のおそれがないと認められること。
四 社会の感情が仮出獄を是認すると認められること。」
大麻再犯事件では、実刑判決を受ける前の段階で、刑事事件に強い弁護士とともに裁判における効果的な主張立証の方法を綿密に検討した上で、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが重要です。
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