【事例解説】大麻を栽培し逮捕(前編)
今回は、賃貸マンションで大麻を栽培し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、名古屋市内の賃貸マンションにおいて、自己使用目的で大麻を栽培していたところ、突然賃貸マンションに多数の警察官が現れ、捜索差押許可状を示されました。
賃貸マンションが捜索されたあと、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは警察署に連れていかれて、取調べを受けています。
大麻を他人に売却したことはありません。
(事例はフィクションです。)
Aさんに成立する犯罪
大麻栽培
大麻をみだりに栽培すると、大麻栽培(大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項、2項)が成立することとなります。
Aさんには、特に法定の除外事由(Aさんが「大麻取扱者」として大麻を栽培しているなど)がないので、賃貸マンションにおいて大麻を栽培した以上、上記の犯罪が成立する可能性が高いと思われます。
また、営利目的で大麻を栽培した場合と、営利外の目的(個人使用目的など)で大麻を栽培した場合とでは、刑罰が異なります。
営利目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処せられます。
営利外の目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合には、1年以上10年以下の懲役に処せられます。
Aさんは自己使用目的で大麻を栽培しており、栽培した大麻を譲り渡すなどしたことはないため、営利外としての嫌疑をかけられる可能性が高いでしょう。
ただし、栽培している大麻が大量であり、自己使用目的とは言い難い場合や、効率的に大麻を栽培する設備が備えられるなどしていた場合には、営利目的による大麻栽培を疑われる可能性もあります。
大麻所持
Aさんは自己使用目的で大麻を栽培していることから、大麻をみだりに「所持」しているとしての嫌疑もかかると思われます。
大麻所持については、
大麻所持罪も、営利目的であるか、営利外の目的であるかによって刑罰の重さが異なります。
営利目的で大麻を所持する行為については、1年以上10年以下の懲役、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金が予定されています。
(麻薬及び向精神薬取締法第66条2項)
営利外の目的で大麻を所持する行為については、7年以下の懲役となっています。
(麻薬及び向精神薬取締法第66条1項)