大麻所持で一部執行猶予
大麻所持と一部執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
さいたま市在住のAさんは自宅の家宅捜索を受け大麻取締法違反(所持)で逮捕されその後起訴されました。Aさんは刑務所を出所(覚せい剤取締法違反(使用)で服役)したばかりでした。Aさんと接見した弁護士は、再犯防止の観点から、一部執行猶予判決を獲得できないか検討しています。
(フィクションです。)
~大麻所持と一部執行猶予~
麻薬等の薬物事件を犯した方に対する一部執行猶予については、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(以下「法律」)」に定められています。この法律によると、一部執行猶予判決を受けるには次の要件が必要とされています(法律3条)。
1 薬物使用等の罪を犯したこと
2 本件で、1の罪又は1の罪及び他の罪について3年以下の懲役又禁錮の判決の言い渡しを受けること
3 刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが、再び犯罪をすることを防ぐために「必要」であり、かつ、「相当」であること
なお、薬物使用等の罪については、他の犯罪と異なり、前科の要件は必要とされていません。つまり、Aさんのような累犯前科を持つ方であっても、一部執行猶予判決の対象となり得ます。
では、一部執行猶予が対象とする「薬物使用等の罪」とは何でしょうか?
主な犯罪は次のとおりです(法律2条2項参照)。
同項2号 大麻の所持又はその未遂罪
同項4号 覚せい剤の所持、使用等又はこれらの罪の未遂罪
同項5号 麻薬及び向精神薬取締法の所持罪等
この点、大麻所持は同項2号の「大麻の所持」にあたり、Aさんは一部執行猶予判決を受ける資格は有しています。
大麻取締法第24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」としています。
一部執行猶予は実刑判決の一部です。つまり、執行猶予付き判決とは異なることに注意が必要です!また、麻薬等の薬物使用等の罪に関しては必ず保護観察が付きます(法律4条1項)。さらに、保護観察の順守事項を守らなければ、一部執行猶予の言い渡しが取り消されることがあり(法律5条2項)、再び刑務所に収容されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。ケースのような薬物事件の解決実績も豊富です。ご家族が大麻所持の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。