逮捕されてしまったら

1.通常の刑事手続

(1)逮捕

警察官などの捜査機関が捜査をした結果、罪を犯したこと(被疑事実)が明らかとなった場合には、逮捕されることもあります。
すべての人が逮捕されるわけではありません。

逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の3種類があります。

通常逮捕は、捜査機関が逮捕状を示して身体を拘束する手続です。

緊急逮捕は、一定の重大犯罪(死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪)を犯したと疑うに足りる充分な理由があって、急速を要するため逮捕状を得ている時間的余裕がない場合に、捜査機関が逮捕状なくして身体を拘束する手続です。

現行犯逮捕は、犯罪を行っている人や犯罪を行った人、犯罪をし終わってから間もない人の身体を、逮捕状なくして拘束する手続です。
これは、例外的に一般の人でもできます(私人逮捕)。

なお、現行犯逮捕とよく似たものに準現行犯逮捕があります。

刑事訴訟法212条2項によれば、

  1. 犯人として追呼されているとき、
  2. 盗品または明らかに犯罪に使用したと思われる凶器などを所持しているとき、
  3. 身体または衣服に犯罪の顕著な証跡があるとき、
  4. 誰何(すいか)されて逃走しようとするとき、

のいずれかにあたる者が「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」には、準現行犯として無令状で逮捕することができる、と規定されています。

銀行強盗があった銀行の近くで、バックに大量の札束をもっていたりする場合が挙げられ、逮捕令状がなくても逮捕することができます。

逮捕されると、逮捕時から48時間以内に身柄を釈放するか検察官に送致するかを決定します。

そして、送致された場合、24時間以内に検察官は被疑者を勾留するか否かを決定し、勾留する場合には、裁判所に対し勾留請求を行います。

 

(2)勾留(被疑者勾留)

検察官の勾留請求が認められれば、10日間の身体拘束が認められ、場合によってはさらに、10日間の延長が認められます。

したがって、一度逮捕されると、逮捕から勾留請求までの時間を含めて、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があるということになります。

また、勾留されると外部との連絡を制限され、接見禁止決定がなされると、基本的に弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接触ができなくなります。

 

(3)起訴

検察官は(勾留されている場合には、勾留期間の満了までに)起訴・不起訴の処分を決定します。

起訴されると、刑事裁判が開始します。

起訴されてからの身体拘束を被告人勾留といい、起訴前の被疑者勾留とは異なり、公訴の提起があった日(起訴日)から2か月間拘束することができます。

また、被告人勾留は、1か月ごとに更新される場合があります。

起訴された後は、一定の金銭を裁判所へ預けることによって、身柄拘束から解放してもらうこともできます(詳しくは「保釈してほしい」を参照)。

 

(4)公判

裁判では、無罪判決か有罪判決の言渡しを受けます。有罪判決の場合には、執行猶予を付けられるかどうかが判断されることとなります。

日本の刑事裁判の有罪率は、99%を超えていると言われています。

刑事裁判は、公開の法廷で行われるため、一般の方が傍聴することもできます。

 

2 薬物犯罪における特殊性

(1)逮捕

薬物犯罪の場合、事前に逮捕状を提示すると、トイレに流すなど容易に証拠隠滅を行われる可能性が高いため、通常逮捕の場合でも、逮捕状を事後に提示することが許される場合があります。

 

(2)勾留

薬物犯罪については、余罪が存在する可能性が高く、共犯者がいる可能性が高いので、証拠の隠滅可能性が高い犯罪と言われています。

そこで、充分に証拠を集め終わるまで身体を拘束された状態で捜査が行われ、勾留期間のギリギリまで勾留されることも多いです。

また、罪証隠滅のおそれが高いことから、接見禁止が付される場合がほとんどです。

 

(3)起訴

薬物の使用については尿検査や毛髪検査などにより、使用していることが明らかとなります。

また、薬物犯罪事件は被害者がいないために、通常の事件であれば不起訴の重要な考慮要素となる示談ができません。

そのため、検察官により起訴される可能性は極めて高く、証拠から使用などの事実が明らかであれば、有罪となる確率は極めて高いといえます。

もっとも、起訴された段階で公判を維持できるだけの証拠は揃っていることが通常ですので、薬物単純所持や使用の場合であれば、比較的保釈が認められる可能性が高いです。

 

(4)公判

公判では、捜査段階で得た証拠を淡々と調べられ、有罪判決が下される可能性が高いです。

特に使用や所持の場合、尿検査の結果や捜索差押の結果により、使用や所持の事実について明白な証拠があり、仮に否認していたとしても、有罪となる可能性が高いです。

もっとも、所持の認識が無かったとして故意の有無を争うようなことはできます。

その場合には、取調べの対応や有利な証拠収集が重要になってきます。

適切な弁護活動のできる弁護士に依頼できるかどうかが争えるかどうか、無罪を勝ち取れるかどうかを決します。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、適切な手段・方法により少しでも依頼者様の肉体的・精神的負担を軽減できる可能性がある限り、親身になって弁護活動を行ってまいります。

薬物犯罪のことでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお問い合わせください。

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