態様別―所持
1 所持罪における「所持」の意義
物の所持とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」です(最高裁大法廷判決昭和24年5月18日)。わかりやすく言えば、自分で管理ができる範囲に物を置いていれば、所持になります。たとえば、薬物を運搬している場合にも、持ち運んでいることは管理ができる範囲に置かれているということになりますから、所持罪が成立します。
また、他人に知られないように隠している場合にも、所持にあたります。たとえば、旅館裏口の壁の床下に覚醒剤を隠匿していた場合に所持に当たるとした裁判例があります。
薬物が自分の所有物でなく、他人のために預かったものであっても所持罪が成立します。
もっとも、所持罪が成立するためには、少なくとも所持している物が規制薬物であるという認識が必要になります。この認識については、未必的認識で足りるので、規制薬物であるかもしれないという程度の認識でも、所持の故意が認められます。
2 法定刑
①1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
・覚醒剤(営利)、ヘロイン(営利)
②1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
・コカイン(営利)、MDMA(営利)、麻薬原料薬物(営利)、あへん(営利)
③10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
・覚醒剤原料(営利)
④10年以下の懲役
・覚醒剤(非営利)、ヘロイン(非営利)
⑤7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
・大麻(営利)
⑥7年以下の懲役
・覚醒剤原料(非営利)、コカイン(非営利)、MDMA(非営利)、麻薬原料植物(非営利)、あへん(非営利)
⑦5年以下の懲役
・大麻(非営利)
⑧5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(営利)
⑨3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(非営利)
※向精神薬については譲渡目的の所持のみ規制
(営利)5年以下の懲役、情状により100万円以下の罰金を併科
(非営利)3年以下の懲役
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