薬物別―MDMA・MDA
1 麻薬及び向精神薬取締法について
MDMA・MDAの所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受等の行為は、「麻薬及び向精神薬取締法」によって処罰されます。
その他にも「麻薬特例法」による規制もあります。
日本における法律上の意味における麻薬とは、麻薬及び向精神薬取締法の別表に規定がされています。
具体的には、ヘロイン、コカイン、LSD、MDMAなどです。国際的には、LSDやMDMAのような幻覚剤の多くは、向精神薬と認識されていますが、日本の法律上は、麻薬として扱われています。
また、向精神薬とは、精神に作用する薬物の総称であり、非常に広い意味を有する用語ですが、規制の対象となるのは麻薬の場合と同じく、麻薬及び向精神薬取締法の別表で指定されている薬物となっています。
2 MDMA・MDAの薬効など
MDMA・MDAの通称には、エクスタシー、ラブドラッグなどがあります。
MDMAは、本来は白色粉末ですが、色のついた錠剤の形での密売が一般的です。俗に「エクスタシー」等と呼ばれます。
MDAは、白色粉末で、俗に「ラブドラッグ」等と呼ばれています。
MDMAとMDAはともに、視覚、聴覚を変化させたり、不安や不眠などになったりする場合もあり、使用を続けると錯乱状態に陥ることがあるほか、腎・肝臓機能障害や記憶障害等の症状も現れることがあります。
3 法定刑と裁判の種類
(1)輸出・輸入・製造
ア 営利目的がない場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。
イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。
(2)譲渡・譲受・所持・施用
ア 営利目的がない場合
法定刑は7年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。
イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金を併科されます。
通常の公判手続に付されます。
4 弁護活動
①身に覚えがない場合
身に覚えがないにも関わらず、麻薬取締法違反の容疑を掛けられてしまった場合には、弁護人を通じて、捜査機関(警察署・検察庁)が十分な証拠を持っていないことを指摘して、不起訴処分になるよう弁護活動を行います。
しかし、使用罪については尿検査の結果が陽性だったために逮捕・勾留されていることがほとんどです。
「使用に身に覚えがない」となると、知らぬ間に第三者に使用させられたというような場合になるでしょう。
ただ、その「第三者」が具体的に存在する可能性を指摘しなければなりません。
②身に覚えがある場合
実際に、麻薬取締法違反をしていた場合は、罪を認め、情状等をアピールしたとしても、不起訴や保釈などは殆ど認められず、長期の勾留や起訴される可能性は非常に高いです。
なぜなら共犯者と通謀して、口裏を合わせたり、証拠の毀損、隠匿、ねつ造をしたりするのではないかと考えられるからです。
裁判官は、被告人が公判中に、再度薬物を使用するのではないか危惧していますし、被告人に薬物の使用を中断させ、薬物を遠ざけるには勾留が最善の手段と考えているため、保釈についても、認められるには、相当の努力が必要です。
ただし、興味本位の初犯で薬物依存がない等の場合は、本人の反省や親族の援助監督が可能であれば、その旨の資料を検察官に提出して、起訴猶予処分にむけてアクションを起こすことも可能です。
③裁判になった場合
裁判になった場合は、本人の再犯可能性がないことを裁判官に理解してもらい、量刑を軽減するような弁護活動を行います。
そのためには、薬物の入手経路や仲間を明らかにし、再使用の改善、親族等の協力を得ること、 病院への入通院の手配など、客観的な環境も含めたうえで、再犯の可能性がないことを示さなくてはなりません。
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