覚せい剤輸入事件で刑務所収容回避

2020-03-02

薬物事件の刑罰の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都市西京区在住のAさん(50代男性)は、覚せい剤を他人に販売する目的で、日本国内に覚せい剤を輸入しようとしたとして、営利目的の覚せい剤輸入罪の容疑で、京都府西京警察署に逮捕された。
Aさんの家族は、事件の今後の見通しを確かめるために、刑事事件に強い弁護士をAさんのいる西京警察署に派遣した(弁護士の初回接見)。
Aさんは、弁護士と法律相談することで、Aさんがどういう刑罰を受ける可能性があるかを弁護士から聞いた上で、今後の弁護活動方針や警察取調べの対応を検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~覚せい剤輸入事件における弁護活動~

覚せい剤輸入罪は、営利目的でなされた犯罪の場合には、法定刑が「無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科」と非常に重い刑事処罰が規定されています。
一方で、営利目的でない覚せい剤輸入罪の法定刑は「1年以上の有期懲役」とされています。
覚せい剤輸入事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは今回の事件が裁判で「営利目的あり」と認定されるのか、あるいは「営利目的なし」と認定されるかを検討し、裁判で争われる具体的な証拠を精査した上で、より刑事処罰が軽くなるように、そして執行猶予付きの判決を得られるように、弁護士の側から積極的な主張立証活動を行います。

~薬物事件の刑罰の種類とは~

犯罪行為を行って、刑事裁判で有罪となった場合には、「死刑」「懲役刑」「禁錮刑」「罰金刑」「拘留」「科料」といった刑罰の種類が、法定されています。

・死刑
刑事施設内で絞首することで執行されます。
死刑という刑罰の規定がある罪は、人の死亡という結果を生じさせた「殺人罪」「強盗殺人罪」「強制性交等致死罪」「現住建造物等放火罪」などに限られており、薬物犯罪で死刑を規定する法律はありません。

・無期の懲役刑
無期懲役刑は、刑期の定めなく、刑務所に収容される刑罰です。
薬物犯罪の場合には、「営利目的の覚せい剤輸出・輸入罪、覚せい剤製造罪」「営利目的のヘロイン輸出・輸入罪、ヘロイン製造罪」に該当した場合に、無期懲役刑が科される可能性があります。

・有期の懲役刑
有期懲役刑は、1月以上20年以下の刑期の範囲内で、刑務所に収容される刑罰です。
ただし、加重要件があれば上限を30年まで上げることができ、また減軽要件があれば下限を1月未満に下げることができます。
薬物犯罪の場合には、ほとんどの罪で、有期懲役刑が規定されています。
3年以下の懲役刑または禁固刑」の判決であれば、執行猶予付きの判決を受けることで、刑務所への収容を回避できる可能性があります。

・禁錮刑
禁錮刑は、刑務所に収容される刑罰ですが、懲役刑と違って強制労働させられることがありません。
一般的な薬物犯罪において、禁錮刑の規定はありません。

・罰金刑
罰金刑は、1万円以上の支払いを強制される刑罰です。
罰金を納めることができなかった場合には、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されます。
一部の重い薬物犯罪では、例えば法定刑が「1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科」のように、懲役刑と罰金刑が併せて科される可能性もあります。

・拘留
拘留は、1日以上30日未満の期間で、刑事施設に収容される刑罰です。
拘留という刑罰の規定がある罪は、「暴行罪」「公然わいせつ罪」「軽犯罪法違反」などがありますが適用例は極めて少なく、一般的な薬物犯罪で拘留の規定はありません。

・科料
科料は、1000円以上1万円未満の支払いを強制される刑罰です。
科料という刑罰の規定がある罪は、「暴行罪」「遺失物等横領罪」「軽犯罪法違反」などがありますが適用例は少なく、一般的な薬物犯罪で科料の規定はありません。

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