覚せい剤使用罪の執行猶予

2019-02-20

覚せい剤使用罪の執行猶予

事例:Aは、兵庫県尼崎市の自宅において注射器を使って、自らの身体に水溶液上の覚せい剤を注射し、もって覚せい剤を使用した。
兵庫県尼崎南警察署の警察官は、Aを覚せい剤使用罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~覚せい剤取締法における覚せい剤使用罪~

本件Aは、自宅で覚せい剤を使用した疑いで逮捕されています。
この点について、薬物を取締り、これを不法に所持や使用したものの処罰を定めているのが覚せい剤取締法です。
覚せい剤取締法は、41条の3第1項第1号において、「第19条(使用の禁止)の規定に違反した者」を「10年以下の懲役に処する」ものとしています。
そして、同法19条は、法定の除外事由(典型的には研究行為や医療行為等)のない限り「何人も、覚せい剤を使用してはならない」ものと規定しています。

同条における「使用」とは、覚せい剤をその用法にしたがって用いる一切の行為を指すとされています。
覚せい剤の摂取態様には、その種類に応じて様々なものが考えられますが、上記のように「使用」とはかなり包括的な概念であり、また本件のような注射による覚せい剤の摂取という典型的な行為が「使用」に当たることは明白であるといえます。

~覚せい剤使用罪における弁護活動~

覚せい剤事件に関しては、被害者のいない犯罪ともいわれていますが、暴力団等の反社会的組織の資金源になるなど副次的な影響も大きく、その法定刑からしても重大犯罪に位置付けられるといえます。
こういったことは資料上も裏付けられています。
覚せい剤事犯に関しては、司法統計上も不起訴率が1割未満とかなり少なくなっており、逮捕・勾留を経て起訴される可能性が高い犯罪類型となっているのです。
したがって、被告人・弁護士ともに起訴され、裁判となることはある程度覚悟しなければなりません。
その際には、被告人の実刑を避けるためにも、弁護士としては、執行猶予を目指した弁護活動を行うことになるでしょう。

刑法上、執行猶予には、全部執行猶予(刑法25条)と刑の一部の執行猶予(刑法27条の2)があります。
後者の刑の一部の執行猶予の場合、刑が確定すれば収監されてしまい、その後の刑の執行が一定の範囲で猶予されるものです。
つまり、執行猶予によって実際上の刑期が短くなるといったものにすぎません(当然、猶予内に再び罪を犯し刑が確定すれば、その猶予が解除されることは言うまでもないでしょう)。
覚せい剤事犯でも、特に初犯であれば全部執行猶予を受けられる可能性も高いことから、弁護士としては刑の全部の執行猶予を目指した弁護活動を行っていくことになります。

もっとも、薬物事件の場合には薬物事件固有の考慮も必要になる可能性があります。
通常の事件であれば、保護観察が付かない形の執行猶予判決を得た方が被告人とって利益になると一般には考えられています。
しかし、薬物事件では一種の依存状態から再犯となってしまう場合が少なくないことは良く知られています。
そこで、保護観察という機会を通じて治療プログラムへの参加を促すなど、再び薬物事件を犯さず社会復帰することが被告人にとっても重要になってくるからです。
したがって、弁護士として、何が被告人にとって最善となるのか熟慮したうえでの弁護活動が重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚せい剤使用罪といった薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士が、依頼者様の利益に則った弁護活動を行ってまいります。
覚せい剤使用事件逮捕された方のご家族は、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
(兵庫県尼崎南警察署への初回接見費用:35,500円)