【事例解説】覚せい剤の所持で現行犯逮捕 

2024-02-12

覚せい剤の所持で現行犯逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

大麻草

事例

Aさんは、町の裏路地で売人から自分が使用する目的覚せい剤購入しました。自宅に帰るところで、警察に呼び止められ、職務質問の上、所持品検査を受けたことで覚せい剤の所持が発覚し、Aさんは現行犯逮捕されてしまいました。 
(フィクションです。)

覚せい剤取締法とは

覚せい剤取締法は、覚せい剤の使用や所持等を規制するために制定された法律です。
この法律により、覚せい剤とは「フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」や当該塩類等を含有する物と定義されています。
覚せい剤原料となるものも規制されており、メタンフェタミンやアンフェタミンに容易に変化しうる化合物が覚せい剤原料として指定されています。
合法的に入手することは原則としてできませんが、例外としてメタンフェタミン塩酸塩は、ヒロポンという商品名で処方されることがあります。
覚せい剤取締法は、覚せい剤を所持、使用、譲り受け・譲り渡し、輸入・輸出などすることを規制しています。
覚せい剤製造業者として指定を受けるなどしていなければ、基本的には、適法に覚せい剤にかかわることはできず、覚せい剤に関与した場合には、何らかの形で覚せい剤取締法に抵触することになります。

覚せい剤取締法違反の成立要件

覚せい剤取締法違反の罪は、覚せい剤をみだりに所持、輸入・輸出、譲り受け・譲り渡した場合に成立します。
覚せい剤製造業者として指定を受けるなどしていない場合、覚せい剤を所持等していた行為が「みだり」な態様ではないとされるケースは考えにくいため、所持等の行為が認められる場合には、原則的には、それだけで覚せい剤取締法違反の罪が成立してしまうことになります。
そのため、覚せい剤に関わる行為は、極めて厳しく規制されており、違反した場合の刑罰も重いものとなっています。

覚せい剤取締法違反の罪の故意

覚せい剤取締法は、過失で覚せい剤を使用・所持等してしまった場合には刑罰を科していません。
したがって、覚せい剤取締法違反の罪の成立には、使用・所持する等した薬物が覚せい剤であることを認識していたことまで立証されなければなりません。
しかし、覚せい剤取締法違反についての「故意」は、使用・所持するなどした薬物が覚せい剤であることを確信していなくても、身体に有害である違法な薬物であることについての認識があれば、覚せい剤であることを確定的に認識していなかったとしても、未必的に覚せい剤であることについて認識できていたとして、故意が認定されてしまいます。
覚せい剤の所持や使用に関する故意の問題は、法的な争点となることが多く、特に使用の場合、故意が否定されて無罪が言い渡されたケースは極めて限られています。
覚せい剤を誤って体内に摂取してしまうような事態は容易に想定できず、何らかの薬物であるものと誤信して覚せい剤を摂取した場合には、違法な薬物である旨の認識は容易に認められてしまうためです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は覚せい剤取締法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
覚せい剤取締法違反の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。