覚せい剤使用の仲間を募り逮捕

2020-03-12

今回は、覚せい剤の濫用をネット掲示板で唆した場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府堺市に住むAさんは、ネット掲示板において、覚せい剤の隠語を用い、「一緒にキメてストレスを忘れましょう。来られる人は××公園に〇時」などと投稿しました。
実際にAさんは覚せい剤を使用しており、また、使用するためにこれを所持しています。
ある日、Aさんの自宅に逮捕状を持った大阪府堺南警察署の警察官が現れ、Aさんは麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の疑いで逮捕されてしまいました。
さらに、机の引き出しに収納していた覚せい剤及びガラスパイプ、注射器なども押収されました。
Aさんは今後どうなるのでしょうか?(フィクションです)

~公然と覚せい剤の使用をあおったり、唆すと罪になる~

Aさんには、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(以下、「麻薬特例法」と記載します。)違反の疑いをもたれています。

麻薬特例法第9条は、「薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第六条の罪若しくは第七条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」としています。

ここにいう「規制薬物」とは、①麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬及び向精神薬、②大麻取締法に規定する大麻、③あへん法に規定するあへん及びけしがら並びに④覚せい剤取締法に規定する覚せい剤をいいます(麻薬特例法第2条1項)。

Aさんは、公然と、ネット掲示板において、規制薬物である覚せい剤を濫用することを唆したものと考えられます。
したがって、麻薬特例法違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

~覚せい剤使用罪、所持罪~

さらに、Aさんの自宅から覚せい剤が発見されているので、覚せい剤所持罪の嫌疑もかけられます。
また、捜査中に尿検査を求められると思われますが、Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、覚せい剤使用罪の嫌疑もかけられることになるでしょう。
覚せい剤使用罪、覚せい剤所持罪の法定刑は、いずれも「10年以下の懲役」となっています。

~今後の刑事手続の流れ~

(捜査段階)
ケースの案件は、逮捕→勾留→勾留延長→起訴(公判請求)→判決という流れになる可能性が高いでしょう。
逮捕・勾留・勾留延長をされると、捜査段階で最長23日間身体拘束をされます。
このような薬物事件においては、Aさんがどのように薬物を入手したかを解明するために、身体拘束が長引く傾向にあります。

また、Aさんが犯したと疑われている罪は、1つではありません。
このような場合、一つ目の罪についての捜査を終え、釈放されるタイミングで、別の罪の疑いで再び逮捕されるケースもあります。
この場合は、別件で逮捕された分、さらに身体拘束が長引くことになります。
早期に起訴したりするなどしてAさんを再び逮捕しないよう、弁護士に働きかけてもらう必要があるといえます。

(起訴後)
今回のケースでは、捜査手続及び収集した証拠に問題がなければ、起訴される可能性が高いでしょう。
起訴された後は、保釈の実現に向けて動く必要があります。

また、Aさんが初犯であれば、執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
速やかに保釈を実現し、薬物依存の治療プログラムを開始するなどして、再犯のおそれがないことをアピールする準備を行っていく必要があります。

まずは、接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。