【薬物事件】覚醒剤取締法違反で逮捕・営利目的の有無

2021-08-05

覚醒剤取締法違反で逮捕された事例ついて、営利目的の有無による弁護活動の違いなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは、Bに対して営利目的で覚せい剤を代金2万円で譲り渡した。
博多警察署の警察官は、Aを覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~覚醒剤取締法における加重類型~

まず薬物犯罪については、いわゆる刑法には規定がないため、特別刑法と呼ばれる個別の取締規定をみる必要があります。
例えば、本件のような覚せい剤事犯においては、覚醒剤取締法がその取締法規となります。

覚せい剤事犯において、最も典型的なのが所持罪や使用罪ですが、他にも譲受罪や譲渡罪も典型的な覚せい剤事犯といえるでしょう。
さらに、上記のような典型的な類型の覚せい剤事犯においても、営利目的がある場合には罰則がより重いものとなっていることに注意が必要です。
所持罪や使用罪等が「10年以下の懲役」(法41条の2第1項、41条の3第1項参照)と法定刑が定められているのに対して、営利目的があると「1年以上の有期懲役」(同条第2項をそれぞれ参照)の罰則が定められています。
一見すると、前者の方が後者より重いとは言い切れないようにも思えますが、「10年以下の懲役」の場合、「10年」が懲役の長期であるのに対して、「1年以上の有期懲役」とは、(刑法12条1項と合わせ読むと)「1年以上20年以下の有期懲役」となり、後者が前者より重い法定刑(罰則)を定めていることが分かるでしょう。
本件では、Aが覚醒剤を譲り渡していることから、営利目的が認められれば、上述したより重い法41条の2第2項が適用されるのことになるのです。

~覚醒剤取締法違反事件における弁護活動~

覚醒剤取締法事件で逮捕されてしまうと、勾留されることを避けるのは難しいのが実情です。
しかも、不起訴となる可能性は乏しく起訴を前提とした弁護活動を行っていくことになるのが通常です。
初犯であれば、執行猶予を得ることのできる見込みが高いことから、早期の保釈の実現など身体拘束の解放が弁護活動において重要性を帯びることになると考えられます。
もっとも、注意が必要なのが上述したのはあくまで自己使用目的であった場合の見通しだということです。
覚せい剤事犯において営利目的がある場合には、上述のとおり法定刑からしてもより重い事件類型ということになります。
したがって、執行猶予を得る見込みは極めて低くなるといわれており、実刑も覚悟しなければならないのです。
よって、覚せい剤事犯においては営利目的があるかないかが極めて大きな処分の差を生むことになるといえます。

また、薬物事件で問題となりやすいのが、捜査機関による違法捜査です。
違法捜査の内容によっては収集された証拠が排除される可能性もあることから、こうした点の有無も念入りにチェックする必要がある事項といえるでしょう。
したがって、被疑者・被告人との面会(接見)等においては事件の推移や捜査機関の行動などをしっかりと聴取することが重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、営利目的譲渡罪を含む覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件(刑事事件)を専門に扱っている法律事務所です。
薬物事件の弁護活動に定評のある弁護士が、法律相談をうけたまわります。
覚醒剤取締法事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお問い合わせください。