(事例紹介)外国籍のコカイン営利目的所持事件で実刑判決

2022-12-06

(事例紹介)外国籍のコカイン営利目的所持事件で実刑判決

~事例~

沖縄県那覇市のホテルで昨年6月、コカイン約1キロを営利目的で所持するなどしたとして、麻薬取締法違反などの罪に問われた、ブラジル国籍の無職の被告(25)に、那覇地裁(小野裕信裁判長)は22日、懲役5年、罰金150万円(求刑懲役8年、罰金200万円)の判決を言い渡した。
被告は違法薬物との認識はなかったと主張していたが、小野裁判長は認識があったと認定した。判決理由では、交際相手から違法薬物の回収役兼運搬役を引き受け、犯行に及んだと指摘。コカイン所持量が1キロを超えていることから「立場は従属的であることなどを考慮しても、実刑は免れない」と述べた。
(後略)
(※2022年11月24日12:26YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~コカインの営利目的所持~

今回取り上げた事例では、外国籍の被告がコカインの営利目的所持などによる麻薬取締法違反に問われ、懲役5年、罰金150万円の実刑判決を受けています。
コカインは麻薬の一種であり、麻薬取締法によって規制されている、違法薬物です。

麻薬取締法では、麻薬を「ジアセチルモルヒネ等」とそれ以外に分けて規制しています。
「ジアセチルモルヒネ等」とは、いわゆるヘロインのことを指します。
コカインとヘロインは別物ですから、コカインは「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」として麻薬取締法で規制されているということになります。

麻薬取締法第66条
第1項 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

今回の事例では、被告がコカインの営利目的所持などによる麻薬取締法違反に問われたと報道されており、この麻薬取締法第66条第2項に当たる麻薬取締法違反であると判断されたものと思われます。

~外国籍でも実刑判決~

今回の事例の被告は、外国籍ですが、麻薬取締法違反実刑判決を受けています。
刑事事件を起こしてしまったり、その容疑をかけられてしまったりすれば、外国籍の方であっても、日本人と同様、日本の刑事手続に則って捜査されることになります。
ですから、場合によっては逮捕・勾留によって身体拘束を受けながら捜査されることもあるでしょうし、起訴されれば刑事裁判を受けることもあります。
外国籍の方にとって、慣れない日本の刑事手続を受けていくということには大きな不安がつきまとうことになります。
特に、日本語に慣れていない方であればその不安はさらに大きなものとなってしまうでしょうし、逮捕・勾留による身体拘束を受ければ余計に心配になるでしょう。
そのため、外国籍の方が被疑者・被告人となっている刑事事件では、よりこまめなサポートが求められると言えるでしょう。

また、外国籍の方が実刑判決を受ければ、退去強制となります。
実刑判決の場合には、言い渡された懲役刑や禁錮刑を刑務所で受けてから、退去強制となります。
こうした手続への不安もあるでしょうし、それを避けるためにどういった活動ができるのかということも把握すべきといえますから、弁護士への相談を早めにしておくことがおすすめされます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国籍の方の刑事事件についてもご相談・ご依頼いただいています。
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