覚せい剤と保釈

2021-02-11

覚せい剤と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

Aさん(23歳)は覚せい剤取締法違反(自己使用罪)で逮捕され,その後,起訴されてしまいました。Aさんのご両親は,Aさんの体調のことなどが心配になって保釈請求を検討中です。そこで,Aさんのご両親は,保釈請求のため刑事事件専門の弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~保釈~

保釈とは,被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して,その身柄拘束を解くことをいいます。ここでは,保釈請求はどのタイミングでできるのか,保釈されるのはどんな場合か,保釈のメリット,注意点についてご紹介します。

上記で述べたとおり,保釈は被告人のために認められた制度です。したがって,保釈請求は,身柄を拘束された方が被疑者から被告人に変わる瞬間,つまり,

起訴後

に行うことができます。
ただし,保釈請求したからといって,直ちに釈放されるわけではありません。請求を受けた裁判官,裁判所が請求を認めるべきか否か判断するのに時間を要しますし,仮に請求を認めたとしても,検察官から反対意見が出ればさらに時間を要することになります。したがって,なるべく被告人を早く釈放したい場合は,起訴されたと同時に保釈請求を出すという方法も考えられます。

刑事訴訟法は,保釈される場合として「権利保釈」「裁量保釈」「職権保釈」を規定しています。

*権利保釈*

刑事訴訟法89条は,次の場合を除いては,保釈を許可することを「原則」としました。これを「権利保釈」といいます。

1号 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
2号 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪判決の宣告を受けたことがあるとき
3号 被告人が常習として懲役3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したおのであるとき
4号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
5号 被告人が,被害者その他の事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
6号 被告人の氏名又は住居が分からないとき

*裁量保釈*

上記1号から6号までに当たる事由がある場合でも,裁判所(又は裁判官)は,保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅する恐れの程度のほか,身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上,経済上,社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し,適当と認めるときは,職権で保釈を許可することができます。これを「裁量保釈」といいます。

保釈のメリットは、

・精神的,肉体的負担の軽減
→留置場,拘置所暮らしの生活は,多大な精神的,肉体的負担を伴います。保釈されれば,これらの負担から解放されます。

・様々な処分を免れる
→早期に釈放されることにより,会社の懲戒処分(解雇,減給等),学校の退学処分等を免れることができるかもしれません。

・家族が安心する
→何より,ご家族が安心されます。ご家族が留置場等へ面会に行く手間も省けます。

・裁判に向けた十分な打合せができる
→いつでも弁護士に相談できるわけですし,釈放されているわけですから何より落ち着いて打合せを行うことができます。

他方で、デメリットは、

・保釈保証金を準備しなければいけない
→釈放には保釈保証金の納付が必要です。事案にもよりますが,最低でも100万円から150万円は必要で,決して安い金額とはいえません。

・保釈につき様々な条件が付けられる
→裁判に出廷することはもちろんですが,住所を変えるとき,数日間の旅行をするときなどは予め裁判所の許可が必要となります。条件を守らなければ,保釈保証金を没収されます。

・再び収容される
→はじめに述べたように,保釈は勾留の効力は一時的に「停止」するにすぎません。したがって,条件を守らなければ,保釈保証金を没収うされるほか,再び留置場等へ収容されることになります。

を挙げることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件で保釈をご検討中の方は,ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。0120-631-881で,24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。