【事例解説】外国籍の方が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕
事例紹介
外国籍の方が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「アメリカ国籍のAさんは、現在、日本人のBさんと結婚して日本で生活しています。
里帰りでアメリカに帰国していたAさんは、日本に戻る際に、友人のCさんから日本に住むCさんの知人に渡すためにと小包を受け取り、そのままアメリカを出国しました。
Aさんは、成田空港に到着して日本に入国しようとしたところ、Cさんから受け取った小包の中に覚醒剤が入っていたとして、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されました。」
(この事例はフィクションです)
覚醒剤を日本に輸入してしまうと?
覚醒剤取締法では、覚醒剤について輸入、輸出、製造、所持、譲り渡し、譲り受け、所持といった行為に罰則を設けています。
今回取り上げた事例のAさんは、アメリカで受け取った覚醒剤が入った小包を日本に持ち込んでいますので、覚醒剤を日本に輸入した場合に当たる可能性が高いです。
覚醒剤取締法13条では「何人も、覚醒剤を輸入し…てはならない」と規定して覚醒剤の輸入を禁止するとともに、同法41条1項では「覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し…た者…は、1年以上の有期懲役に処する」と規定して、覚醒剤の日本への輸入行為について罰則を科しています。
また、覚醒剤の輸入を営利目的で行っていた場合には、覚醒剤取締法41条2項によって、さらに罪が重くなり、無期若しくは3年以上の懲役、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000千万円以下の罰金が科される可能性もあります。
営利目的で覚醒剤を輸入したとして起訴された場合、その刑事裁判は、裁判員裁判の対象になりますので(裁判員法2条1項1号)、通常の刑事裁判とは異なる流れで裁判が進められることになります。
外国籍の方が日本で覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されてお困りの方は
覚醒剤の輸入事件の場合、輸入した物の中に覚醒剤が入っていることについて知っていなければ罪に問うことができませんので、逮捕直後の取り調べにおいては、輸入した物が覚醒剤であることを認識していたかということについて重点的に取り調べられることが予想されます。
本当は輸入した物が覚醒剤であることを知らなかったのに、取り調べでの捜査官の誘いに応じてしまって、「輸入した物が覚醒剤であることを知っていました」と供述してしまうと、無実の罪を着せられてしまうということになる場合もあります。
このような冤罪を避けるためにも、ご家族の中に覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された方がいるという場合は、弁護士に依頼して弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
この初回接見では、弁護士が逮捕されたご本人様と直接面会して事件について話をすることができますので、弁護士から逮捕されたご本人様に取り調べのアドバイスを行うこともできます。
また、逮捕された方が外国籍の方で母国語しか話すことができないという場合は、弁護士と一緒に通訳の方も派遣することができますので、逮捕された方が日本語が話すことができなくても十分なコミュニケーションをとることができるでしょう。