薬物別―コカイン

1 麻薬及び向精神薬取締法について

コカインの所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受等の行為が「麻薬及び向精神薬取締法」によって処罰されます。

その他にも「麻薬特例法」による規制もあります。

日本における法律上の意味における麻薬とは、麻薬及び向精神薬取締法の別表に規定がされています。

具体的には、ヘロイン、コカイン、THC、LSD、MDMAなどです。国際的には、LSDやMDMAのような幻覚剤の多くは、向精神薬と認識されていますが、日本の法律上は、麻薬として扱われています。

また、向精神薬とは、精神に作用する薬物の総称であり、非常に広い意味を有する用語ですが、規制の対象となるのは麻薬の場合と同じく、麻薬及び向精神薬取締法の別表で指定されている薬物となっています。

 

2 薬効など

コカインは、無色の結晶又は白色の結晶性粉末で、無臭で苦みがあります。

コカインは、医療用麻酔薬としても使用されています。

乱用する場合には、鼻粘膜からの吸引のほか、経口による方法が用いられます。

コカインは、覚醒剤に比べて、効果の持続時間が30分程度と短いですが、覚醒剤と同様に神経を興奮させる作用があり、気分が高揚し、眠気や疲労感がなくなったように感じます。

乱用を続けると、幻覚等の症状が現れたり、虫が皮膚内を動き回っているような不快な感覚に襲われて、実在しないその虫を殺そうと自らの皮膚を針で刺したりすることもあります。

コカインを大量に摂取すると、呼吸困難により死亡することがあります。

 

3 法定刑と裁判の種類

(1)輸出・輸入・製造

ア 営利目的がない場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。

イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

 

(2)譲渡・譲受・所持・施用

ア 営利目的がない場合
法定刑は7年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。

イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金を併科されます。
通常の公判手続に付されます。

 

3 弁護活動

①身に覚えがない場合

身に覚えがないにもかかわらず容疑を掛けられてしまった場合には、当然捜査機関の持っている証拠は別人の犯罪についてのものとなりますので、ご本人とは関係のないものであることを主張して、不起訴処分になるよう弁護活動を行います。

 

②身に覚えがある場合

実際に、薬物犯罪事件を起こしてしまった場合には、共犯者と通謀して、口裏を合わせたり、証拠の毀損、隠匿、ねつ造をしたりするのではないかと考えられるため、釈放や保釈が認められる可能性は低くなります。

ただし、興味本位の初犯で薬物依存がない等の場合は、本人の反省や親族の援助監督が可能であれば、その旨の資料を検察官に提出して、不起訴処分の一種である起訴猶予処分にむけて活動することが考えられます。

 

③裁判になった場合

裁判になった場合には、本人の再犯可能性がないことを裁判官に理解してもらい、量刑を軽減するような弁護活動を行います。

そのためには、罪について認めて、薬物の入手経路や仲間を明らかにし、再使用の改善、親族等の協力を得ること、 病院への入通院の手配など、客観的な環境も含めたうえで、再犯の可能性がないことを示さなくてはなりません。

 

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