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覚せい剤所持で実刑回避

2019-04-11

覚せい剤所持で実刑回避

~ケース~

埼玉県本庄市在住の会社員のAさんは,覚せい剤のパケをポケットに鞄にいれて繁華街を飲み歩いていた。
Aさんはかなり酔っており,それを見かけた埼玉県児玉警察署の警察官Xらから職務質問を受けた。
Aさんは酔っていたが普通に対応していたが,警察官から鞄の中を見せて欲しいと言われ,覚せい剤がばれると思い拒否した。
不審に思ったXらはAさんから鞄を奪い鞄の中を確認したところ,覚せい剤のパケが見つかった。
Aさんは覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)の疑いで現行犯逮捕された。
その後の検査によりAさんが覚せい剤を使用していたことも判明した。
Aさんの家族はAさんが実刑とならないように弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)

~職務質問~

警察官による職務質問は警察官職務執行法第2条に基づいてなされます。

警察官職務執行法第2条
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

お酒を飲んでかなり酔っているという場合には警察官は異常な挙動があるとして職務質問をすることが許されます。
なお,職務質問の際に所持品検査をすることは条文上に規定はありませんが、判例によって,職務質問に付随して所持品検査をすることが認められています。
ただし,職務質問は任意捜査ですので有形力の行使は原則として許されていません。
有形力の行使があった場合には,犯罪の予防という目的との兼ね合いで適法であったかどうかが判断されることになります。

~実刑回避~

日本において,警察で事件を終局させるような軽微な事件を除いて,事件は警察から検察官へと送致されます。
検察官は送致された事件について起訴するか不起訴とするかを判断します。
不起訴には起訴猶予,嫌疑なし,嫌疑不十分などの種類があります。
検察統計によると日本における覚せい剤取締法違反の起訴率は概ね80%前後となっています。
起訴されなかった20%の大部分は被疑者が覚せい剤取締り法違反ではない場合や違法な捜査などによる嫌疑なしや嫌疑不十分による不起訴であると思われます。
そのため,覚せい剤取締法違反について起訴猶予による不起訴処分となることは非常に稀だと思われます。

今回のケースでは,警察官Xらによる鞄の中の確認によって覚せい剤を発見し覚せい剤取締法違反として逮捕しています。
仮にXらによる鞄の中の確認が法律上認められていない違法な捜査であると検察官が判断すれば嫌疑不十分による不起訴となるでしょう。
弁護士は違法な捜査があったと思われる場合には意見書などを検察官に送付します。
それによって検察官が違法な捜査があったと判断し,不起訴となる場合もあります。
また,起訴されてしまった場合には刑事裁判で違法な捜査があったと主張し,無罪判決を目指していきます。

警察官Xらよる鞄の中の確認自体は,先述のように職務質問に付随する所持品検査として判例で認められています。
しかし,今回のケースでは警察官XらはAさんから鞄を奪って中を確認したというのですから、職務質問に付随するものとして許容できる範囲を超えている可能性もあります。
そのような場合には違法な捜査であったとして,それによって得られた証拠は違法収集証拠として証拠とは認められません。
また,違法な捜査によって得られた証拠から派生した証拠も認められないと解されていますのでAさんの検査結果も証拠として認められない可能性が高いです。
そうなれば,検察官は適法な証拠がないので嫌疑不十分として事件を不起訴とする可能が非常に高いでしょう。

起訴されてしまった場合,覚せい剤取締法違反の単純所持,つまり個人使用目的で所持していた場合,初犯であれば執行猶予付きの判決となることが多いです。
ただし,自動的に執行猶予となるのではなく,裁判官に刑務所に入れるのではなく社会で更生することが可能であると認定してもらう必要があります。
具体的には,覚せい剤などの薬物は依存による再犯率が高いので薬物依存の専門医の診断を受けたり,ダルクのリハビリ等を受けたりしたことを証明できる書類などを裁判で提出していきます。
また再発防止に向けた家族・親戚の取り組みなども裁判で主張していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
覚せい剤などの薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士が多数所属しております。
覚せい剤などの薬物事件で逮捕されてしまいお困りの方は、0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(埼玉県児玉警察署までの初回接見費用:45,620円)

大麻所持罪で無罪主張

2019-04-06

大麻所持罪で無罪主張

事例:Aが自宅において大麻を所持しているとの情報得た警察官Kは、この供述をもとに作成した調書を資料として、捜索差押許可状(令状)を請求し、これによってA宅を捜索した。
その結果、A宅から大麻1グラムが見つかったことから、大阪府住吉警察署の警察官Kは、Aを大麻取締法違反(大麻所持罪)の容疑で現行犯逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~大麻取締法と大麻所持罪~

Aは、大麻を所持していた疑いで現行犯逮捕(刑事訴訟法213条)されてしまっています。
大麻取締法は、大麻の不正取引や不正使用等の防止を目的とするものであり、医療用途での使用も禁止されています。
この点、大麻取締法は3条1項において「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」とし、譲渡や譲受とともに単純所持も禁止の対象としています。
本件における大麻所持罪は、大麻取締法24条の2第1項によって「5年以下の懲役」が刑罰として科される可能性があります。

~違法捜査に対する無罪主張(違法収集証拠排除法則)~

無罪主張といっても、有罪であることを立証する責任があるのはあくまで検察官であり、被疑者・被告人(および弁護士)が無罪を証明する必要はなく、検察官の有罪立証を攻撃・弾劾することが無罪主張の主眼となります。
刑事訴訟法317条は「事実の認定は、証拠による」ものとしており、検察官の立証の核となるような証拠が排除されることになれば有罪の立証は困難になると考えられます。

この点、証拠排除に関する法則として、刑事訴訟法上に明文こそありませんが、判例上確立した考え方として、違法収集証拠排除法則があります(最判昭和53年9月7日等参照)。
これは、(捜査官等の証拠収集手続に)令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、将来における違法捜査の抑制の見地からして相当でない場合には、これを上記刑訴法317条のいう「証拠」として許容しないという考え方です。

上記排除法則を適用し証拠排除を認めた最高裁判例はわずかしか存在しませんが(最判平成15年2月14日等)、近年では下級審において証拠排除を認める裁判例が増えつつあるのが現状です。
例えば、本件のような大麻所持罪における証拠たる大麻の捜索・差押えが、捜査官によって作成された虚偽の供述調書を資料として請求・発付された捜索差押許可状(令状)に基づいてなされた場合など(横浜地決平成28年12月12日参照)、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来の違法捜査抑制の見地から相当でないといえる場合には、当該違法捜査によって得られた証拠は排除されることになります。
このように、有罪立証の核となる差押えられた大麻が証拠として採用できない場合、被疑者・被告人の有罪を証明することはできなくなり、無罪となり得るのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻取締法違反事件を含む薬物事件といった刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
我が国の刑事司法ではハードルの高いと言われている無罪主張を含め、依頼者様にとっての利益を最大化するための弁護活動を行ってまいります。
弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて、大麻取締法違反事件等で逮捕されてしまったご家族のお問い合わせを24時間態勢で受け付けております。
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大阪府住吉警察署への初回接見費用36,800円

薬物事件捜査の範囲と限界

2019-04-01

薬物事件捜査の範囲と限界

~ケース~

警察官Pは、Aが兵庫県小野市の自宅を拠点に覚せい剤を密売しているとの疑いを強め,A方の捜索差押えを実施する必要があると考えた。
Pは、神戸地方裁判所社支部裁判官に対し,Aに対する覚せい剤取締法違反(営利目的の譲渡)の被疑事実でA方の捜索差押許可状の発付を請求し、捜索すべき場所をAの自宅とする捜索差押え許可状の発付を受けた。
Pは,Aが玄関のドアチェーンを掛けたまま応対してきたため、A方ベランダの外にあらかじめ待機させていた捜査員Qらを、Pの合図でベランダの柵を乗り越えて窓ガラスを割って解錠し、A方に入らせた。
その後、PはAに対し捜索差押許可状を呈示し。捜索を開始した。
(上記事例はフィクションです)

~薬物事件捜査の範囲と限界~

上記の事例では、Pは捜索差押許可状(いわゆる令状)に基づいて、A方を捜索しています。
そのため、令状なく捜索差押えが行われたわけではなく、この点について違法はありません。

もっとも、上記の事例において、Pは、部下の捜査官Qらに命令して、ベランダの柵を超えて、窓ガラスを割って解錠し、Aの自宅内に入らせています。
刑事訴訟法は、警察官の行う捜索差押えについて、令状に基づいてさなれる必要があると規定されているにとどまり、その際の捜査手法について具体的に規定されているわけではありません。
そのため、このような態様での捜査が適法といえるかどうかが問題となります。

刑事訴訟法111条1項本文は「差押え状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」と規定しています。
同条は、直接的には裁判所の行う執行について規定したものですが、警察などの行う捜査においても準用されています。
そのため、P及びQらの行為が、上記の「必要な処分」に当たるといえる場合には適法な捜査であるといえることになります。

刑事訴訟法111条は、捜索差押えという主たる処分に附随する処分として認められた捜査手法であるといえます。
また、警察や検察の行う捜査は、一般的に、必要かつ相当な範囲でのみ認められるべきであるという比例原則が妥当します。
したがって、上記の「必要な処分」については、その捜査手法が必要かつ相当であるといえる場合に限り、認められるものであると考えられます。

では、上記事例でのP及びQらの行為が必要かつ相当であるといえるでしょうか。

上記事例では、Pは、Aが自宅を拠点として覚せい剤を密売しているとの疑いを持っています。
覚せい剤等の薬物事件においては、密行性が高く、証拠物である覚せい剤そのものや注射器などを容易に廃棄することが可能であるといえます。
そのため、覚せい剤事件では、一般論として、証拠保全の必要性が高いといえます。

また、上記事例では、Aが玄関のドアチェーンを掛けたまま応対しています。
そのため、玄関からA宅に入るためには相当の時間を要し、その間に証拠物を破棄される恐れがあるといえます。
したがって、そのような証拠の破棄を防ぐためにベランダの柵を乗り越え、窓ガラスを割って解錠する必要性があったといえます。

さらに、窓ガラスを割るという行為についても、玄関ドアそのものを破壊する行為などと比べると、Aが被る財産的損害は軽微であるといえ、捜査としての相当性も認められるといえます。
したがって、P及びQらの行為は「必要な処分」として適法であるといえる可能性が高いです。

なお、Pは捜索差押許可状を捜索の着手後にAに呈示しており、令状の事前呈示を怠っています。
しかし、証拠保全の必要性がある場合には、捜索着手後に近接して令状呈示を行うことも認められていることから、この点について、違法があるとまではいえないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件を専門とした弁護士であり、捜索差押えをきっかけとした逮捕や取調べのご相談も受け付けています。
覚せい剤などの薬物事件についてお悩みの方は、弊所の弁護士まで、ご相談ください。
まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
兵庫県小野警察署までの初回接見費用:上記フリーダイヤルにてご案内いたします。

麻薬取締法違反で逮捕・即決裁判

2019-03-27

麻薬取締法違反で逮捕・即決裁判

事例:Aは自らが所持している違法薬物が、実際は覚せい剤であるのに、これを麻薬(コカイン)であると思い込んで所持していた。
京都府宇治警察署の警察官は、Aを麻薬取締法違反の疑いで逮捕した。
なお、Aは違法薬物を所持していたことは認めている。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~麻薬取締法と覚せい剤取締法~

まず、どちらも違法薬物であるコカイン覚せい剤は、それぞれ別の法律によってその取締りを規定しています。
コカインは、麻薬取締法によってその所持等の禁止が定められています。
麻薬取締法は、28条1項本文において「麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ、麻薬を所持してはならない」と、「麻薬」の所持を禁止しています(ここにいう「麻薬」とは、2条1号が別表第一に定めるものであり、コカインもこの別表第一によって本法が取り締まる「麻薬」に当たるものとされています)。
これに対し、覚せい剤は、覚せい剤取締法においてその所持等を禁止しています。
覚せい剤取締法は14条1項において、(法定除外事由の無い限り)「何人も、覚せい剤を所持してはならない」と、「覚せい剤」の所持を禁止しています。

麻薬取締法で禁止される麻薬の所持の法定刑が「7年以下の懲役」(同法66条1項)であるのに対し、覚せい剤取締法で禁止される覚せい剤の所持の法定刑は「10年以下の懲役」(同法41の2第1項)と後者の方が重い刑罰が科されていることになります。

本件では、Aはコカインだと思って覚せい剤を所持していたところを逮捕されています。
この場合に、どちらの法律が適用されるのでしょうか。
この点、判例(最決昭和61・6・9)は、軽い罪の故意(本件でいえば麻薬所持)で重い罪(本件でいえば覚せい剤所持)を犯した場合には、犯罪の構成要件が重なり合う限度で軽い罪が成立することを認めています。
本件では、両罪の目的物が麻薬か覚せい剤かに差異があるだけで、犯罪の構成要件の重なり合いが認められるため、軽い麻薬所持罪が成立することになります。

~即決裁判手続の利用~

薬物犯罪は重大犯罪であり、仮に初犯であっても起訴され、通常の刑事裁判は避けられないとのイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、特に初犯であれば、通常の刑事裁判ではなく即決裁判手続を利用することで早期に裁判などの刑事手続からの解放を目指すという道を選ぶことも考えられます。

即決裁判手続とは、争いのない明白かつ軽微な事件について、検察官が被疑者の同意を得て起訴と同時に申立て行うことで、迅速かつ簡易な審理・判決を実現させる手続です(刑事訴訟法350条の2)。
即決裁判手続では、可能な限り速やかに裁判の期日が指定され、原則としてその日のうちに結審・判決がなされます。
そして、判決で懲役または禁鋼が言い渡される場合には、必要的に執行猶予が付されることとなります。
このように即決裁判手続によれば、迅速な刑事手続からの解放と執行猶予判決がなされることから、事件の早期解決を希望する被疑者や家族にとっては少なくないメリットを得ることが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、麻薬取締法違反や覚せい剤取締法違反などの薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
当該事件における即決裁判手続の利用の可否や、そのメリットだけではなくデメリットなども十分に検討・ご説明差し上げます。
麻薬取締法違反事件(麻薬所持罪)で逮捕された方のご家族は、年中無休で繋がるフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお電話ください。
京都府宇治警察署への初回接見費用:36,500円

大麻事件のおとり捜査

2019-03-22

大麻事件のおとり捜査

福岡県柳川市に住むAさんはひそかに大麻を友人に販売していました。
ある日、友人から大麻が欲しいとの連絡があったためAさんはいつもの引き渡し場所に出向きました。
しかしそこにいたのは福岡県柳川警察署の警察官でした。
Aさんの友人はすでに逮捕されており、捜査官が友人と名乗って連絡していたことを知りました。
Aさんはそのまま逮捕・勾留されてしまいました。
(フィクションです)

【おとり捜査】

おとり捜査とは捜査官やその協力者が捜査をしていることを知らせずに被疑者・被告人と接触し、被疑者・被告人が犯罪行為をするのを見届け、証拠を確保するという捜査の手法です。
警察をはじめとする捜査機関は本来犯罪を抑止すべきであって犯罪が行われるのを黙って見ていて犯罪が行われてはじめて動き出すのはけしからんと思われるかもしれません。
それでは日本の法律・判例ではおとり捜査はどのように考えられているのでしょうか。

犯罪についての捜査には強制捜査と任意捜査があるとされています。
強制捜査は被疑者・被告人の意思に関わりなく、強制的に行われる捜査です。
捜索、差押え等が具体的には考えられます。
任意捜査は強制捜査以外の捜査で、主に対象者の同意を取って行われる捜査です。
職務質問の中で警察官が同意を取ったうえで持ち物を調べる場合等は任意捜査に当たるでしょう。
このように捜査は強制捜査と任意捜査に大別されますが強制捜査は人の意思に反して行われるという性質上、その人の権利を大きく制限します。
もし捜査機関が無制限に強制捜査を行えるとなると国民の権利が制約されてしまう恐れがあります。

そこで刑事訴訟法では強制捜査に関しては強制処分法定主義と令状主義を規定しています。
強制処分法定主義とは強制捜査は法律で定められた場合しか認められないというものです。
ですから、法律で定められた状況、方法といった要件を満たさなければ強制捜査はできないことになります。
令状主義とは強制捜査は裁判官もしくは裁判所の発する令状が無ければ行うことができないという原則です。
これにより、捜査機関がすぐに強制捜査を行うのではなく一度司法のチェックが入ることになり、権利の侵害が起こりにくくなります。

現在の日本の刑事訴訟法にはおとり捜査に関する規定はありません。
ですから強制処分としておとり捜査を行うことはできず任意捜査としてとらえられることとなります。
おとり捜査には機会提供型と犯意誘発型があるとされています。
機会提供型とは被疑者・被告人が既に犯罪をする意思を持っており、おとり捜査はその実行の機会を与えただけであるようなケースが該当します。
例えば、麻薬の売人に対して麻薬を買う旨を申し出る場合等です。
犯意誘発型とは捜査官の方から積極的に働きかけ犯罪をしようとする意思を惹起させる類型です。
例えば、多額の報酬と引き換えに万引きをするように働きかけることがこれにあたるでしょう。
一般に機会提供型は犯行の機会を提供しただけであるため任意捜査として許容されるのに対し、範囲誘発型は捜査官の干渉により犯罪が行われたということであるためその捜査は違法とされるべきだとされています。
もっとも具体例からも分かる通り、機会提供型と犯意誘発型は明確に二分できるものではありません。
具体例のようにすでに捕まえた共犯者等のふりをすることもあれば、新参の購入希望者を装うこと、捜査協力者を利用しておびき寄せることもあります。
捜査官の働きかけの強さの程度によってグラデーションづけられることになります。

実際判例でも機会提供型か犯意誘発型かの二分論でおとり捜査を評価しているわけではありません。
判例においてはおとり捜査の必要性、その手段の相当性等を総合的に判断しています。
必要性に関しては犯罪の内容や性質を通しておとり捜査でなければ検挙できないものであったかが判断されます。
手段の相当性に関しては捜査官の働きかけの態様が問題となってきます。

あくまで一般論ですが被害者がおらず、水面下で行われる薬物事件や密輸事件においてはおとり捜査の必要性は認められやすいと言えるかもしれません。

福岡県柳川市薬物事件おとり捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の相談を無料で行っております。
福岡県柳川警察署までの接見費用:42,800円

弁護人接見と接見禁止

2019-03-17

弁護人接見と接見禁止  

東京都江東区に住むAさんは,麻薬であるMDMAを所持していたとして,警視庁城東警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されました。
その後,Aさんの身柄は検察庁に送られ,裁判所から留決定とともに,接見禁止決定も出されました。
Aさんの家族はAさんと面会できないことから,薬物・刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見及び接見禁止の解除を依頼しました。
(フィクションです)

~ 弁護人接見 ~

逮捕勾留により身体拘束されている被疑者・被告人と面会することを接見(接見交通)といいます。
そして,弁護人との接見のことを弁護人接見,弁護士以外の者の接見のことを一般接見と呼ばれています。

= 弁護人接見の特徴 =

弁護人接見の特徴は,

1 逮捕期間中から可能
2 接見の曜日,時間,回数に制限がない
3 立会人が付かない
4 接見禁止決定が出ても接見ができる

といった点が挙げられます。他方,一般接見の場合,

1 法律上,逮捕期間中は認められていない
2 通常,土日は不可で,1回につき15分から20分。身柄拘束を受けている方1人につき1日,1回。
3 立会人が付く
4 接見禁止決定が出ると接見できない

といった点が挙げられます。

= 弁護人接見の重要性 =

逮捕後,身柄拘束中は精神的,肉体的な苦痛が伴います。
また,警察官や検察官の取調べは決して生緩いものではありません。
そんなとき,接見が持つ意義は,弁護士から取調べに対するアドバイスを受けられることでしょう。
また,何より,自分の立場に立ってくれる「味方」がいることは,何より精神的な支えとなることでしょう。
逮捕期間中はご家族の接見も制限され,また,接見禁止が付いていれば勾留後も接見できませんから,弁護士の接見は重要といえるでしょう。

~ 接見禁止 ~

弁護士以外の者との接見を禁止することを接見禁止といいます。
薬物犯罪の場合,薬物の取引等に多くの関係者が関与している場合が多いことから,犯人(Aさん)とこれらの者との交通(接見等),罪証隠滅行為を遮断するため,接見禁止となることが比較的多いです。

= 接見禁止決定までの流れ =

接見禁止は,通常,検察官の請求にはじまり,請求を受けた裁判官が,勾留では賄いきれない逃亡又は罪証隠滅のおそれがあると判断した場合に接見禁止決定を出します。
検察官の請求は,勾留請求と同時になされることが多いです。
これは,勾留決定が出た後,時間的隙間を作らず関係者との交通を遮断するためです。
ただ,稀に,勾留されて何日か経過した後に請求される場合もあります。

接見禁止決定には「公訴の提起に至るまで」との期限を付する運用が一般的です。
これは,公訴の提起後は,ある程度捜査が終了しているものと思われ,罪証隠滅のおそれも低いと考えられるからです。
しかし,検察官が公訴提起後も接見禁止の措置が必要と判断した場合は,公訴提起(起訴)と同時に再度接見禁止請求をするのが通常です。

= 接見禁止を解除するためには? =

接見禁止を解除するための手段として,接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。
他に,接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。
これは法律上認められた手続きではなく,裁判所の職権発動を促す効果しかありません。
しかし,特に公訴提起されるまでは,裁判所は事情を何も知り得ないので,弁護士から積極的に申立てをする意義は大きいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,麻薬及び向精神薬取締法をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
逮捕された方との接見,接見禁止が出た場合の接見禁止解除をお望みの場合は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス,無料法律相談等を24時間受け付けております。
(警視庁城東警察署への初回接見費用:37,100円)

覚せい剤所持事件の違法捜査

2019-03-12

覚せい剤所持事件の違法捜査

~ケース~

Aさんは覚せい剤の粉末の入ったポリ袋をズボン右ポケットに入れて西東京市内の繁華街を歩いていましたが、薬物中毒者に顕著な特徴が認められるという理由で警察官から職務質問を受けました。
警察官はズボン右ポケットの中身を出すよう求めましたが、Aさんは職務質問に協力せず、自らポケットの中身を出そうとはしませんでした。
長時間にわたる警察官の説得に対してAさんは黙ったままであり、警察官は「いい加減だしてくれよ。ポケットの中見るぞ。いいか」といい、右ズボンポケット内に手を入れ、中身を掴みだすと、覚せい剤と思われる粉末が出てきました。
その後、粉末は試薬による検査で覚せい剤と判明し、Aさんは覚せい剤所持の現行犯として警視庁田無警察署逮捕されてしまいました。
Aさんは任意の職務質問でポケットに手を入れられたことが非常に不満です。
(フィクションです)

~覚せい剤所持罪について~

覚せい剤取締法第41条の2第1項は、「覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者は、10年以下の懲役に処する」としており、比較的重い刑罰が予定されています。

~ケースの警察官の行動に問題はなかったか?~

確かに、職務質問は任意の処分です。
では、職務質問中、所持品検査を所持人の承諾なく行うことは適法でしょうか。
最高裁昭和53年6月20日判決によれば、「警職法二条一項に基づく職務質問に附随して行う所持品検査は、任意手段として許容されるものであるから、所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度において許容される場合があると解すべきである」と判示しており、適法なケースがありうると述べています。
ケースの警察官はAさんの承諾なくポケットを調べていますが、これが捜索に至らず、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、相当性を考慮して適法とされるケースがあるということになります。
ケースに類似した事件として、最高裁昭和53年9月7日判決があります。
そこでは、「警察官が、覚せい剤の使用ないし所持の容疑がかなり濃厚に認められる者に対して職務質問中、同人の承諾がないのに、上衣左側内ポケットに手を差し入れて所持品を取り出した上検査した行為は、一般にプライバシー侵害の程度の高い行為であり、かつ、その態様において捜索に類するものであるから、職務質問に附随する所持品検査の許容限度を逸脱し違法である」と判示されています。

~職務質問に附随する所持品検査が違法だとして、刑事手続にはどのように作用するか~

「違法収集証拠排除法則」により、ポケットからでてきた覚せい剤の「証拠能力」が否定されることがあります。
証拠能力が否定されれば、その証拠は事実認定に用いることができません。
ただし、違法収集証拠として証拠能力が否定されるには、「証拠物の押収等の手続に、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる」ことが必要です。
要するに、単に手続に違法があるというだけで、直ちに証拠能力が否定されるわけではないということです。
上記昭和53年9月7日判決では、ケースに類似した態様の所持品検査をきっかけとして押収した「覚せい剤ようの粉末」につき、①所持品検査として許容される限度をわずかに超えたにすぎないこと、②警察官に令状主義を潜脱しようとする意図があったわけではなかったこと、③所持品検査に際し強制等のされた事跡も認められないことから、証拠能力を肯定しています。
上記ケースでも、覚せい剤の証拠能力は肯定される可能性が高いと思われます。

~捜査に納得いかない場合は、弁護士に相談~

もっとも、適正な手続で捜査が行われるべきことは当然のことです。
証拠能力が肯定、否定されるに関わらず、違法な捜査が行われた場合、弁護人は捜査機関への抗議を通じ、被疑者の利益のために、適正手続の実現に努めます。

ご自身の、またはご家族の覚せい剤所持事件に関して、捜査機関の活動に納得のいかない方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(相談は0120-631-881まで)
(警視庁田無警察署への初回接見費用:36,700円)

偽薬物販売で詐欺罪

2019-03-07

偽薬物販売で詐欺罪

~ケース~

神奈川県逗子市在住の大学3年生のAさんは偽物の薬物を販売することでお小遣い稼ぎをしようと企てていた。
Aさんはインタ―ネットで販売用のページを作り,「Sを売ります」「リーフ売ります」と宣伝していた。
なお,実際に販売していたのは食塩を覚せい剤の結晶のように固めたものや,大麻草のように装ったお茶っ葉などであった。
Aさんから商品を購入したVさんが警察に被害届を出したことで発覚し,Aさんは詐欺罪の疑いで神奈川県逗子警察署逮捕された。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)

~Aさんの罪~

今回のケースで,Aさんは食塩とお茶っ葉を販売していたのですから販売行為自体は罪にならないでしょう。
しかし,Aさんはあたかも覚せい剤大麻を売っているかのように装って購入者を騙していたのですから詐欺罪となる可能性はあるでしょう。

詐欺罪は刑法246条によって「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。」と規定されています。
詐欺罪が成立するためには

・被害者を騙すことによって
・被害者が騙されて錯誤に陥り
・騙された被害者が自分の意思で財物を処分し
・その財物の占有が加害者に移転することによって
・被害者に損害が発生した

という流れが必要になります。
今回のケースではAさんによる「Sを売ります」「リーフ売ります」といった表示が被害者を騙しているかどうかが問題となります。
覚せい剤は隠語として俗に「シャブ」「スピード」「S(スピードの頭文字)」などと呼ばれています。
また大麻草も「葉っぱ」などといった隠語で呼ばれていることがあるようです。
そうすると,いかにも薬物を販売しているサイトにおいて直接的ではなくとも隠語として使われている「S」「リーフ」といった言葉で相当な値段で販売していたということはあたかも薬物を販売していると購入者を騙しているといえるのではないでしょうか。
詐欺罪のいう欺罔行為の程度は通常の一般人に要求される配慮を尽くしても錯誤に陥る程度の欺罔が必要とされています。
違法薬物を販売しているようなサイトで隠語である「S」「リーフ」といった言葉が用いられていた場合,一般に要求される配慮を尽くしても,違法薬物を販売していると錯誤に陥ってしまうといえるでしょう。
そして,違法薬物の販売をしているとVさんが錯誤に陥って代金を払っているので詐欺罪が成立してしまうでしょう。

詐欺罪は10年以下の懲役刑のみが規定されていますので起訴されてしまった場合には刑事裁判が開かれることになります。
その為,詐欺罪の場合は被害弁償などの示談を通じて不起訴(起訴猶予)を目指していきます。
また,起訴されてしまった場合でも被害弁償などが済んでいれば執行猶予付きの判決となる可能性もあります。

~Vさんの罪~

一方,覚せい剤大麻を買おうとしていたVさんは罪に問われないのでしょうか。
覚せい剤取締法は覚せい剤の所持,譲渡,譲受を禁止しています(覚せい剤取締法41条の2)。
そして同条第3項によって未遂の処罰規定が設けられています。
大麻取締法にも同様の規定があります(大麻取締法24条の2)。
そのため,こういった事件では被害者の購入しようとした行為が罪に問われてしまうため,事件が発覚しにくいという特徴があります。
覚せい剤取締法は10年以下の懲役,大麻取締法は5年以下の懲役となりますが、未遂のため減刑される可能性が高くなります。
Vさんの弁護活動としては,未遂であることを主張し,その後の情状などによって起訴猶予や執行猶予付き判決を求めていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件や薬物を購入してしまいお悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間引き受けております。
(神奈川県逗子警察署までの初回接見費用:38,700円)

埼玉県桶川市の危険ドラッグ事件

2019-03-02

埼玉県桶川市の危険ドラッグ事件

~ケース~

埼玉県桶川市在住の大学生4年生のAさんは就職活動が上手くいかずに悩んでいた。
ある日,大学の友人Xから「この薬を使うと気分がよくなるよ」とある錠剤を薦められた。
Aさんが覚せい剤ではないかと尋ねたところ,Xは「法律で禁止されてない成分を含む奴だから大丈夫だよ」と答えた。
Aさんは不審に思ったが,就職活動が上手くいかず落ち込んでいたので少しでも気を紛らわせようとXから薬を受け取った。
その後,Aさんが深夜に帰宅途中,埼玉県上尾警察署の警察官から職務質問をされAさんは所持品検査に応じた。
その際,Xから貰った薬が発見され,Aさんは医薬品医療機器法違反(指定薬物所持)の疑いで現行犯逮捕された。
大学の卒業試験が数日後に控えていることもあり,警察から連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)

~危険ドラッグの規制~

日本は,覚せい剤や麻薬などはそれぞれの規制法で具体的な成分を指定して禁止されています。
例えば,覚せい剤取締法は「覚せい剤」を規制するという法律ではなく「フェニルアミノプロパン,フェニルメチルアミノプロパンおよびその塩類」という覚せい剤の成分を指定して禁止しています。
同じように,「危険ドラッグ」「危険薬物」「脱法ドラッグ」と呼ばれる薬物もそれぞれ具体的に含まれる成分を医薬品医療機器法(薬機法,旧:薬事法)で指定して規制しています(指定薬物)。
薬機法では指定薬物の治療などの医療用途以外の製造,輸入,販売,所持,使用を禁止しており,違反すると3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科となります(薬機法76条の4,第84条26号)。

~違法であることの認識~

日本では特別な規定がある場合を除き,犯罪の故意がある場合に処罰されることが原則となっており(刑法38条),薬機法や覚せい剤取締法などの薬物規制法も同様です。
今回のケースでは「所持」や「使用」の故意が争われることはないでしょう。
Aは少なくとも自分の意思で所持していますので,薬品が指定薬物,つまり違法なものと認識していたかどうかが問題となります。
刑法は一般市民に向けた行為規範ですので,故意として要求する認識は専門家認識ではなく一般市民が認識し得る程度で足りると解されています。
そのため,薬物については,具体的な指定成分が含まれているとの認識は必要なく,違法薬物かもしれないという程度の認識があれば故意が認められます。
Aさんは覚せい剤かもしれないと考えていたので,少なくとも薬物は違法なものかもしれないと認識していたといえるでしょう。
そのため,Aさんは薬機法の規制する指定薬物の所持について故意があったとされると思われます。

~逮捕後の流れ~

薬物事件では,事件発覚後は罪証隠滅などのおそれが高いことから逮捕後,検察官に送致され,勾留請求を経て勾留される場合が多くなっています。
その後,起訴され刑事裁判を受け,初犯であれば執行猶予付きの判決となる事例が多いです。

勾留は犯罪の嫌疑,勾留の理由および勾留の必要性が要件とされています。
今回のようなケースではすでに違法薬物を所持していた事実がありますので犯罪の嫌疑は問題とならないでしょう。
勾留の理由があるとは,住居不定である場合や,罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合をいいます。
しかし,犯罪の嫌疑や勾留の理由が有る場合でも,被疑者を勾留することにより得られる利益とこれにより生ずる不利益とを比較して、権衡を失するときは、被疑者を勾留することは許されないとされています。
Aさんは違法薬物を所持していただけであり,逮捕後に薬物自体は押収されていると考えられますので,罪証隠滅のおそれは少ないといえるでしょう。
また,Aさんは数日後に卒業試験が控えており,勾留されてしまうと卒業試験を受けられず,大学を卒業できなくなってしまいます。

そのため,弁護士は検察官による勾留請求がされないように勾留の必要性がないこと,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことから勾留要件を満たさない事を主張していきます。
また,勾留によって得られる利益よりAさんが大学を卒業できなくなってしまうという不利益の方が大きいことも主張していきます。
ご両親が身元引受人になることや監視・監督をすること,警察か検察からの出頭命令などには必ず応じるといった内容の上申書も併せて検察官に提出します。
勾留請求がされてしまった場合には,勾留されないために裁判所に勾留に対する準抗告を申し立てることもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件逮捕され勾留を回避したいとお考えの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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覚せい剤所持事件のおとり捜査の適法性

2019-02-25

覚せい剤所持事件のおとり捜査の適法性

~ケース~

大阪府岸和田市大阪府岸和田警察署の警察官Pは、覚せい剤所持事件で前科のあるBから、「Aという男が岸和田市の倉庫内で覚せい剤を販売している」という情報を得た。
Pは、数日間Aの身辺を捜査したところ、Aが覚せい剤使用及び所持の前科がある者数名と親しくしていることが判明したが、Aが覚せい剤の密売を行っているという決定的な証拠は見つからなかった。
PはなんとかしてAを逮捕してやろうと思い、Aに対し、「覚せい剤を買いたいという者がいるから入手できないだろうか」と電話で話を持ち掛けた。
Aは、一度は断ったものの、何度もPが要求したため、覚せい剤の取引に応じることとした。
Pは、Aが待ち合わせ場所に赴いたところを覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕し、覚せい剤を証拠物として押収した。
(上記事例はフィクションです。)

~おとり捜査の適法性について~

上記事例においては、Aは現に覚せい剤を所持しており、覚せい剤取締法は覚せい剤の所持、譲渡し、譲受けについて10年以下の懲役に処すると規定しています。
また、営利目的での所持、譲渡し、譲受けについては、1年以上の有期懲役というさらに重い刑罰が科される可能性があります。
そのため、PがAを覚せい剤取締法違反の罪で現行犯逮捕したこと及び覚せい剤を証拠物として押収したことは適法であるとも思えます。

もっとも、上記の事例において、警察官PはAに対し「覚せい剤を買いたいという者がいる」と話を持ち掛けており、AはPの電話がなければ覚せい剤取締法違反で逮捕されることはなかったといえます。
上記のPの行った捜査は、いわゆるおとり捜査と呼ばれるものですが、このようなおとり捜査が許されるのかが問題となります。

最高裁判所においておとり捜査の適法性が争われた裁判例では、以下のように、おとり捜査は任意捜査として許容されると判断されています。
「直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難である場合、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象にして行われるおとり捜査は、刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容される。」(最判平16.7.12)

もっとも、任意捜査といえども無制約に許されるというわけではなく、おとり捜査を行う必要性及び相当性が認められる必要があります(刑事訴訟法197条1項本文)。

上記の事例では、確かに覚せい剤等の薬物の密売事件においては直接的な被害者が存在せず、犯行も隠密に行われることが多いことから、事件そのものが発覚しにくく、検挙が困難であるといえます。
そのため、「通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難である場合」にあたります。

また、Aは以前から覚せい剤の密売を行っていた疑いが強く、現に覚せい剤を用意してPとの待ち合わせ場所に赴いていることから、Pは犯行の機会を付与したにすぎず、Aは「機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者」に当たるとも思えます。

しかし、上記の事例においては、AがPからの申出を一度断ったにもかかわらず、PはAに対し、さらに何度も覚せい剤の購入を持ち掛けています。
そのため、Pの上記のおとり捜査はAに対し、犯行の機会を提供したにとどまらず、Aの犯行を行う意思を誘発させたと評価される可能性があり、捜査の相当性を欠き、違法捜査であると評価されるおそれがあります。

おとり捜査が違法と認定された場合、Pの捜査行為が違法である以上、これを直接利用してAを現行犯逮捕した行為及び覚せい剤を押収した行為についても、おとり捜査の違法性が承継され、違法となる可能性もあります。

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