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覚せい剤使用の被疑者が尿検査を拒むとどうなる?(後編)

2025-03-13

前回に引き続き、覚醒剤使用被疑事件の被疑者が尿検査を拒んだ場合の捜査手法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは覚醒剤を使用し、名古屋市内の路上をフラフラとさまよっていたところ、腕の注射痕や、意味不明な言動を繰り返しているのを不審に感じた警察官から職務質問を受けました。
警察官はAさんに尿検査をさせてほしいと告げましたが、「警察は関係ない。応じる必要はない。」などとして尿検査を拒絶したため、説得が続けられています
Aさんが尿検査を拒み続けた場合、どうなるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

任意の尿検査を拒み続けると

任意による尿検査の説得なので、Aさんから強制的に尿を得ることは法律上許されません
では、Aさんが尿検査を拒み続けることで、薬物使用の嫌疑はどうなるのでしょうか。

通常、薬物使用の嫌疑がかけられ、任意提出にも応じないAさんの場合では嫌疑が不問とされることは考えにくいと思われます。

判例(最高裁昭和55年10月23日決定)は、「被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経たうえ、被疑者の身体の安全と人格の保護のための十分な配慮のもと」、強制採尿令状により、被疑者から強制的に尿を採取できる場合があることを認めています。

強制手段による捜査

強制採尿令状による場合は、強制的にAさんを採尿場所まで連行し、尿を採取することが法律上、許されることになります。
強制採尿令状は、裁判官が発付します。
そのため、Aさんの意向に関わらず、Aさんの尿を採取するという捜査が可能になります。

Aさんが説得を拒み続けた場合は、上記のような方法により、尿を採取される可能性があります。
採取された尿から覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、覚せい剤使用の疑いで現行犯逮捕されることになります。
また、使用した薬物を「所持」しているのではないかという疑いもかけられるでしょう。
Aさんの所持品から覚醒剤が発見されたり、自宅などを捜索され覚醒剤が発見された場合には、覚せい剤所持の被疑事実も追加されることになります。

今後の弁護活動

覚醒剤使用・所持被疑事件の捜査は身体拘束が長引く可能性が高いでしょう。
なるべく早期に外に出られるよう弁護活動を展開する必要があります。
また、裁判で有罪判決を受け、執行が猶予されない場合は、刑務所で服役しなくてはならなくなるため、実刑判決を回避する弁護活動も必要となります。

場合によっては、捜査に違法な点があったとして、証拠能力を争う弁護活動が必要となる場合もあります。
いずれにしても、どのような弁護活動が適切かはその時の状況に応じて様々と言う他ありません
覚醒剤使用の疑いで逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士の接見を受け、アドバイスを受けることが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

覚せい剤使用の被疑者が尿検査を拒むとどうなる?(前編)

2025-03-06

今回は、覚醒剤使用被疑事件の被疑者が尿検査を拒んだ場合の捜査手法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは覚醒剤を使用し、名古屋市内の路上をフラフラとさまよっていたところ、腕の注射痕や、意味不明な言動を繰り返しているのを不審に感じた警察官から職務質問を受けました。
警察官はAさんに尿検査をさせてほしいと告げましたが、「警察は関係ない。応じる必要はない。」などとして尿検査を拒絶したため、説得が続けられています
Aさんが尿検査を拒み続けた場合、どうなるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

任意による尿検査

警察官は、Aさんに尿検査をさせてほしいと告げています。
違法な薬物の使用が疑われる被疑者に対しては、ほとんどの場合、任意による尿検査を求められることになるでしょう。
任意で尿を提出し、検査の結果に何も問題がなければ、Aさんにかかる疑いは晴れることになります。
(薬物らしき物件を「所持」していたなど、他の嫌疑が存在する場合はこの限りではありません。また、検査の結果次第では、尿をより詳しく検査するため、職務質問から解放された後も捜査が継続する場合があります)。

事例では、Aさんは尿検査を拒否しています。

任意なので尿検査を拒否することは法律上可能ですが、ほとんどの場合、拒否した後も尿検査に応じるように説得が続けられることになります。
Aさんの様子を見た警察官はかなり濃厚な疑いを持っていると考えられますし、任意の尿検査を拒んだことで、「犯罪行為を知られないように隠しているのではないか」と、より疑いを深めたことでしょう。
そのため、警察官による説得はかなり粘り強いものになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】SNS上の記録から大麻の売人を逮捕した事例(後編)

2025-02-27

SNS上の記録から大麻の売人を逮捕した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

薬物片

【事例】

愛知県内に住む大学生のAさんは、大学の先輩から稼げる副業と紹介されSNSを通じて、植物片を第三者に売っていました
なお、Aさんは売っているものが大麻であるということは認識していませんでした
そうしたところ、そのSNS上の取引履歴が決め手となって、違法薬物等の売買についての捜査を進めていた警察によってAさんは逮捕されることになりました。
(フィクションです。)

【麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたら】

麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されてしまったらすぐに弁護士に接見に来てもらい取調べの対応方法などのアドバイスをもらうことが重要です。
今回の事例では、Aさんは大麻を販売していたとは認識していません。しかし、諸々の事情を考慮して、故意が認められ、営利目的での大麻の所持・譲り渡しの事実が認定される可能性もあるため、弁護士に依頼し、早期段階から事件に関与してもらうことは刑事処分を軽減する上で重要であるといえるでしょう。
弁護士が早期に事件に関与することで、逮捕・勾留による長期間の身体拘束を回避するための手続きを講じ、早期の釈放を実現できる可能性が高まります
仮に逮捕・勾留によって長期間の身体拘束をなされてしまえば、学生の方であれば学校に行くことができなくなり、最悪の場合、退学処分が科される、または卒業が遅れるなど日常生活だけでなく将来にもに大きな影響が出てしまう可能性があります
そのため、弁護士に相談して適切なアドバイスを貰うことをお勧めします。

【具体的な弁護活動】

今回の事例において、まずは、早期の身体解放を目指します。具体的には、逮捕後に勾留手続に進まないよう、逮捕後直ちに、弁護士が逮捕された者と面会して直接事件の内容を聴取することで、今後の事件の見通しを示し、取調べへの対応を検討します。
逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば10日間から20日間も身体拘束が続くことになります。そのため、もしも拘束された場合には、先述のように日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこでこれを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
以上のように、今後の対応や刑事処罰の可能性を少しでも減らすためにも、弁護士に相談して適切なアドバイスを貰うことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、大麻栽培、大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】SNS上の記録から大麻の売人を逮捕した事例(前編)

2025-02-20

SNS上の記録から大麻の売人を逮捕した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

薬物片

【事例】

愛知県内に住む大学生のAさんは、大学の先輩から稼げる副業と紹介されSNSを通じて、植物片を第三者に売っていました
なお、Aさんは売っているものが大麻であるということは認識していませんでした
そうしたところ、そのSNS上の取引履歴が決め手となって、違法薬物等の売買についての捜査を進めていた警察によってAさんは逮捕されることになりました。
(フィクションです。)

【大麻をめぐる法制度】

従来、大麻の所持や譲渡は、大麻取締法によって規制されていました。
しかし、令和6年12月に法改正があり、大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律へと改正されました。そして、大麻を「麻薬」と定義し、大麻の所持や譲渡等を「麻薬及び向精神薬取締法によって規制することにしました。
そして、従来の規制に加え、大麻の「使用も禁止されたほか、大麻の所持の厳罰化がなされるなど、大麻の所持等に対する規制が強まっています

【今回の事例で問われうる犯罪】

今回の事例では、大麻の所持と譲り渡しという点で、麻薬及び向精神薬取締法違反に問われる可能性が高いでしょう。
麻薬及び向精神薬取締法12条1項は、「麻薬」の所持・施用(使用)を禁止しています。
また、それに違反した場合の刑罰として同法66条1項は「7年以下の懲役」を定めています。
さらに、営利目的での所持・譲り渡しの場合については同法66条2項により刑が加重され、「1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」が定められています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、大麻栽培、大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料相談のご予約・初回接見の依頼は、フリーダイヤル(0120-631-881)で24時間電話受付中です。

【事例解説】大麻を栽培し逮捕(後編)

2025-02-13

前回に引き続き、名古屋市内における賃貸マンションで大麻を栽培し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

大麻草

事例

Aさんは、名古屋市内の賃貸マンションにおいて、自己使用目的で大麻を栽培していたところ、突然賃貸マンションに多数の警察官が現れ、捜索差押許可状を示されました
賃貸マンションが捜索されたあと、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは警察署に連れていかれて、取調べを受けています
大麻を他人に売却したことはありません。
(事例はフィクションです。)

Aさんの今後

逮捕され、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致後は、検察で検察官の取調べを受けます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを判断します

勾留請求がなされ、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
また、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます
Aさんを勾留したまま捜査がなされる場合は、勾留の満期日までに、検察官が起訴・不起訴の別を判断します
(処分を保留して釈放し、在宅事件に移行する場合もあります。)

起訴されれば

今回の事例で起訴された場合、大麻の量等によっては実刑判決を受ける可能性があります
実刑判決を回避するため、執行猶予付判決の獲得を目指すことが重要です。
そのためには、法廷で二度と薬物に手を出さないことを真摯に誓い、責任をもってAさんを監督できる身元引受人を用意する必要があります。
身元引受人にも弁護側の証人として出廷してもらい、証言してもらう必要があるでしょう。
また、Aさんが薬物に依存している場合には、薬物依存の治療プログラムを開始し、再犯防止に努めていることをアピールすることも考えられます。
弁護士のアドバイスを受けながら、Aさんにとって最も有利な事件解決を目指していきましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、大麻栽培、大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】大麻を栽培し逮捕(前編)

2025-02-05

今回は、賃貸マンションで大麻を栽培し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

大麻草

事例

Aさんは、名古屋市内の賃貸マンションにおいて、自己使用目的で大麻を栽培していたところ、突然賃貸マンションに多数の警察官が現れ、捜索差押許可状を示されました
賃貸マンションが捜索されたあと、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは警察署に連れていかれて、取調べを受けています。
大麻を他人に売却したことはありません。
(事例はフィクションです。)

Aさんに成立する犯罪

大麻栽培
大麻をみだりに栽培すると大麻栽培大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項、2項が成立することとなります。
Aさんには、特に法定の除外事由(Aさんが「大麻取扱者」として大麻を栽培しているなど)がないので、賃貸マンションにおいて大麻を栽培した以上、上記の犯罪が成立する可能性が高いと思われます。

また、営利目的で大麻を栽培した場合と、営利外の目的(個人使用目的など)で大麻を栽培した場合とでは、刑罰が異なります
営利目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処せられます。
営利外の目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合には、1年以上10年以下の懲役に処せられます。

Aさんは自己使用目的で大麻を栽培しており、栽培した大麻を譲り渡すなどしたことはないため、営利外としての嫌疑をかけられる可能性が高いでしょう。
ただし、栽培している大麻が大量であり、自己使用目的とは言い難い場合や効率的に大麻を栽培する設備が備えられるなどしていた場合には、営利目的による大麻栽培を疑われる可能性もあります。

大麻所持
Aさんは自己使用目的で大麻を栽培していることから、大麻をみだりに「所持」しているとしての嫌疑もかかると思われます。
大麻所持については、

大麻所持罪も、営利目的であるか、営利外の目的であるかによって刑罰の重さが異なります
営利目的で大麻を所持する行為については、1年以上10年以下の懲役又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金が予定されています。
麻薬及び向精神薬取締法第66条2項
営利外の目的で大麻を所持する行為については、7年以下の懲役となっています。
麻薬及び向精神薬取締法第66条1項

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、大麻栽培、大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】尿検査前に大麻を使用しており不安に

2025-01-29

尿検査前に大麻を使用していた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

フリーターのAは、友人宅で遊んでいた際、友人が所持する大麻を使用しました。
そのまま気分がよくなって帰っていたのですが、警察官から目が充血していると言われ職務質問を受けることになりました。
そして、尿検査をしつこく求められ、断ることができないまま検査に応じてしまいました
(フィクションです。)

大麻使用罪について

従来は、大麻の所持は大麻取締法で規制されていましたが、大麻の使用そのものは処罰されていませんでした
しかし、2024年12月12日から、麻薬取締法により(大麻取締法ではありません)これまで処罰されていなかった大麻の使用も処罰対象になりました。

大麻の使用(施用)の罰則規定は、麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)で使用(施用)が規制されている麻薬等と同じく、7年以下の懲役です。

従来は大麻の所持の罰則は5年以下でしたが、それまで規制対象にすらなかった使用罪の罰則はそれ以上に重い7年以下となっています。
場合によっては非常に重い刑罰が課される可能性があります。

なお、大麻の単純所持罪の罰則は懲役7年以下になっています。

今回の事例のように尿検査の結果大麻の陽性反応がでれば、大麻の使用罪として逮捕・起訴されることも想定されます。
尿検査を拒否しても、令状を持つ警察官によって強制採尿される可能性もあります。

尿をとられた後、在宅のまま捜査が進むこともあるでしょう。この場合、のちに起訴されるか、それとも不起訴になるのかも事件次第でしょう。
大麻の陽性反応が出た場合も、その後の対応次第では逮捕、起訴を回避できる可能性はあります。
事件の事情や状況は様々であり、それによってベストな供述の仕方も変わり得ます
ですので、薬物事件に詳しい弁護士にまずは相談・依頼することが非常に有益です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は大麻取締法違反事件といった薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
大麻の所持・使用などの麻薬取締法違反で前科を付けたくないとお考えの方や、ご家族が逮捕されてしまった方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
ご相談・初回接見の申込みはフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

 

覚醒剤所持の疑いで逮捕 被疑者に認められた権利について(後編)

2025-01-22

引き続き被疑者に認められた権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは、名古屋市内で警察官から職務質問を受け、所持していたバッグから覚醒剤用の粉末入りのパケットが発見されました。
検査により、覚醒剤様の粉末が本物の覚醒剤であることが確認されると、Aさんは覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されてしまいました。
警察官から入手先を問われると、Aさんは「知らない。誰かが勝手にバッグへ入れた」などと供述し、後日実施された自宅の捜索により発見された覚醒剤についても、「俺のではない。知人が置いて行ったものだ。知人の連絡先は知らない」と話しています。
これを容易に信じない警察官らによる取調べは日に日に厳しくなり、Aさんも負担に感じています。
(事例はフィクションです。)

黙秘権・供述拒否権

取調べの際、Aさんは自己の意思に反して供述する必要はありません
しかし、この権利を行使する場合は、自身に有利なことを供述することもできなくなりますし身体拘束期間が伸びてしまう可能性もあります
積極的に取調べに応じることにより反省の態度を示し、最終的な処分を軽くすることを目指した方がよい場合もあります
この権利の行使にあたっては、弁護士とよく相談する必要があります

署名押印拒絶権

警察官や検察官に話した内容は、供述調書としてまとめられ後の裁判において証拠として活用されることになります
取調官がAさんの話を聞き、これをまとめて調書にし、署名又は押印を求める形式がとられることが多いです。
署名又は押印は、取調官が被疑者の供述した通りに調書を作成したという趣旨でなされるものです。

もし話していないことや、話したことと違うことが調書に記載されていた場合、被疑者は署名又は押印を拒否することができます(刑事訴訟法第198条5項但書)
なお、供述した通りの調書であっても、法律上、署名押印拒絶権を行使することはできます
供述した内容と異なる調書に、安易に署名・押印すると、後の裁判で不利な証拠として採用されるおそれがあります。
時には、執拗に、威圧的に署名・押印を迫られる場合があるかもしれません
そのような場合であっても、間違った調書に署名・押印することは避け、弁護士に相談するようにしましょう

増減変更申立権

調書が供述した通りに作成されていない場合や、自身の言い分が記載されていない場合には、調書を訂正するよう申し立てることができます
刑事訴訟法第198条4項
納得がいくまで修正を求めて構いません
申し立てに応じてもらえない場合には、署名・押印を拒否すべきです。
また、今後の取調べにおいて、黙秘権・供述拒否権を行使することも検討しなければなりません

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕された、弁護士を探している方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

覚醒剤所持の疑いで逮捕 被疑者に認められた権利について(前編)

2025-01-14

覚醒剤所持の疑いで逮捕された被疑者に認められた権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

Aさんは、名古屋市内で警察官から職務質問を受け、所持していたバッグから覚醒剤用の粉末入りのパケットが発見されました。
検査により、覚醒剤様の粉末が本物の覚醒剤であることが確認されると、Aさんは覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されてしまいました。
警察官から入手先を問われると、Aさんは「知らない。誰かが勝手にバッグへ入れた」などと供述し、後日実施された自宅の捜索により発見された覚醒剤についても、「俺のではない。知人が置いて行ったものだ。知人の連絡先は知らない」と話しています。
これを容易に信じない警察官らによる取調べは日に日に厳しくなり、Aさんも負担に感じています。
(事例はフィクションです。)

被疑者に認められた権利

虚偽供述の疑いを強める警察官らによって、Aさんに対する取調べは日に日に厳しくなっています
Aさんが身を守る手段として、被疑者としての権利を行使することが考えられます。
被疑者に認められた権利にはどのようなものがあるのでしょうか。

弁護人選任権

被疑者・被告人はいつでも資格を有する弁護人を依頼することができます
このことは、憲法において保障されており(憲法第37条3項)、逮捕・勾留の際は、警察官や検察官、裁判官も逮捕された被疑者に対し、弁護人選任権があることを知らせなければなりません
刑事訴訟法第203条、204条、207条
Aさんが依頼できる弁護士には、
当番弁護士
国選弁護人
私選弁護人
があります。

接見交通権

身体を拘束された被疑者は、警察官や検察官の立会いなく、弁護人や弁護人になろうとする者と面会することができます
Aさんの逮捕直後は、多くの場合、家族や友人と会うことができず、また、勾留された後に接見禁止決定がなされれば、勾留後もこれらの者と会うことができません。
この場合であっても、弁護人や弁護人になろうとする者とは接見できます
また、Aさんの味方と話をし、アドバイスを受けることができる唯一の機会になります。
Aさんの供述には確かに、にわかに信じがたい部分が多く、取調官が容易に信用しないことは想像に難くありません
もし、本当に虚偽供述をしてしまったのであれば、この接見交通権を利用して弁護士に事実を打ち明け、今後の対応策を検討するのがよいでしょう。
まずは早めの相談が一番です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕された、弁護士を探している方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

大麻規制が強化!厳しい刑罰の可能性

2025-01-07

これまで規制対象となっていなかった大麻の使用が、12月12日より麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)で規制されるようになりました。
この記事では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、今回の法改正について解説します。

大麻草

従来の大麻の規制内容について

大麻の所持
これまでも、大麻の所持については大麻取締法で規制されていました
自己使用の目的などの単純所持罪の場合、罰則規定は5年以下の懲役で、営利目的で所持していた場合は7年以下の懲役かつ、情状により200万円以下の罰金が併科されていました。

大麻の譲渡・譲受
大麻の譲渡や譲受も、大麻取締法で規制されていました
罰則規定は、大麻の所持と同じで、単純な譲受等の場合が、5年以下の懲役で、営利目的の場合が、7年以下の懲役かつ、情状により200万円以下の罰金が併科となっていました。

大麻の輸出入
大麻の輸出入も、大麻取締法で規制されていました
罰則規定は、大麻の所持等よりも厳しく、単純な場合は、7年以下の懲役ですが、営利目的の場合は、10年以下の懲役かつ、情状により300万円以下の罰金が併科されていました。

大麻の栽培
大麻の栽培も、大麻取締法で規制されていました
罰則規定は、大麻の輸出入と同じ厳しいもので、単純な場合が、7年以下の懲役ですが、営利目的の場合は、10年以下の懲役かつ、情状により300万円以下の罰金が併科されていました

以上のように、これまで大麻に関しては、大麻取締法によって規制されていたのですが、大麻の使用については規制対象外だったのです。
※尿検査を受けて、そこから大麻成分が検出されても刑事手続きの対象外でした。

麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)での新規制が開始

ところが、12月12日からは、これまで大麻取締法で規制されていた、大麻の所持、譲渡、譲受、輸出入が、代わりに麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)で規制されるようになり、更に、大麻の使用(施用)も規制対象となっています。

大麻の使用(施用)
大麻の使用(施用)の罰則規定は、麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)で使用(施用)が規制されている麻薬等と同じく、7年以下の懲役です。

大麻の所持、譲渡、譲受
大麻の所持、譲渡や譲受の罰則規定は、単純な場合が、7年以下の懲役ですが、営利目的の場合は、1年以上10年以下の懲役かつ、情状により300万円以下の罰金が併科されます。

大麻の輸出入
大麻の輸出入の罰則規定は、単純な場合が、1年以上10年以下の懲役ですが、営利目的の場合は、1年以上の有期懲役かつ、情状により500万円以下の罰金が併科されます。

これらは上と比較していただければお分かりの通り、大麻取締法で規制されていた時よりも罰則内容が厳しくなっているのです。

大麻の栽培について

大麻の栽培については、麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)では規制されず、新たに大麻草の栽培の規制に関する法律が12月12日から施行され、そこで規制されています
大麻を栽培した場合の罰則は、単純なもので1年以上10年以下の懲役ですが、栽培の目的が営利であった場合は、1年以上の有期懲役かつ、情状により500万円以下の罰金も科せられます。こちらの罰則も従来より重くなっています

薬物事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大麻等の薬物事件を多く扱っている法律事務所です。
ご家族が大麻に関する罪で警察の取調べを受けている、ご家族が大麻に関する罪でお悩みの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

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