荒川区で逮捕・起訴 覚せい剤による保護責任者遺棄致死事件は弁護士へ

2018-01-16

荒川区で逮捕・起訴 覚せい剤による保護責任者遺棄致死事件は弁護士へ

Aは、東京都荒川区内のラブホテルで、女性に覚せい剤を注射した。
女性は頭痛や吐き気を訴えたが、Aは、何も対処しなかった。
その後、女性は、覚せい剤摂取による強度の急性症状によって、他人の助けを必要とする重篤な容態となっていた。
Aが事態の発覚を恐れて女性を放置して立ち去ったところ、女性は死亡した。
Aは、警視庁荒川警察署の警察官に逮捕され、その後保護責任者遺棄致死罪起訴された。
(フィクションです)

~覚せい剤の使用後に放置~

保護責任者遺棄致死罪は、病人等扶助の必要な人について保護する責任のある人が、保護をしなかったり息を行ったりした際に成立します。
「不作為」(何もしないこと)とは、一定の期待された作為をしないこと=保護責任者遺棄致死罪でいえば、保護をしないことです。
「もし期待された行為をしたのであれば、結果は生じなかったといえる場合」には、不作為と結果との因果関係が認められ、不作為が刑事犯罪として罪に問われる可能性があります。
この「結果は生じなかった」といえる程度としては、(合理的な疑いを超える水準までは求められないものの、)ほぼ間違いなく結果は生じなかったであろう程度が要求されます。

この「期待された作為をすべき」要求を、一連の行為のいつの段階で求めるかも問題になります。
今回の事例では、覚せい剤を注射した女性が頭痛や吐き気を訴えた段階で、Aが救護活動等を行っていれば、女性は間違いなく助かったかもしれません。
しかし、この段階では女性の生命に危機が迫っていたとまではいえないため、刑法上の作為義務が肯定されず、保護責任者遺棄致死罪とはならない可能性があります。
逆に、重篤な症状に至ってからでは、救命可能であったかどうかに疑いが生じてしまいます。
したがって、「救命措置が必要な程度の危険が生じており、なおかつ救命可能な時点」において、刑法上の作為義務=女性を保護する責任が生じ、不作為=保護をしないで女性を死なせたことが保護責任者遺棄致死罪になると考えられます。

不作為の罪の証明は、証拠に基づいて行われます。
死亡等の結果は自分とは無関係であること、症状が出た時点で自分には手の施しようがなかったことを証明することは困難です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事弁護のプロフェッショナルですので、困難な刑事弁護のご相談も承っております。
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