覚せい剤を譲り受けた疑いで逮捕

2020-04-06

今回は、覚せい剤を譲り受けた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都西東京市に住むAさんは薬物の常習者です。
隣町に出没する薬物の売人からしばしば覚せい剤を購入しており、収入の大半をその代金に費やしています。
ある日、Aさんの自宅に警察官が現れ、警視庁田無警察署へ同行を求められました。
取調べでは、売人から薬物を買ったことはないかと執拗に尋ねられました。
当初は黙秘していましたが、いつも薬物を買っている売人が逮捕され、顧客リストからAさんが浮上したことを告げられると、覚せい剤の譲り受けを認めました。
Aさんは覚せい剤取締法違反の疑い(譲り受け)で緊急逮捕されてしまいました(フィクションです)。

~Aさんは今後どうなるか?~

覚せい剤をみだりに譲り受け、有罪が確定すると、10年以下の懲役に処せられます(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
ケースの場合においては、Aさんの自宅が捜索され、余罪の証拠が見つかれば(覚せい剤その他の薬物を所持しているなど)、その件でも捜査されるでしょう。

ケースにおいては、尿検査を求められる可能性が高いです。
Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す成分が検出されれば、覚せい剤の使用についても捜査されることになると思われます。

覚せい剤の「譲り受け」、「所持」、「使用」の嫌疑をかけられてしまうと、それぞれの件について逮捕・勾留、釈放を繰り返し、身体拘束が長期化する可能性があります。
具体的には、ケースの「譲り受け」について逮捕・勾留した後、勾留期限日に釈放し、直ちに予め用意していた「所持」又は「使用」の逮捕状を執行する、という方法になると思われます。
上記の全ての件で逮捕・勾留されると、捜査段階で2か月以上の身体拘束を受けることになります。
上記のような嫌疑をかけられた場合には、まとめて捜査を遂げて起訴し、逮捕を繰り返さないよう、弁護士に働きかけてもらうことが大切です。

~保釈を目指す~

捜査機関が捜査を遂げ、Aさんが起こした事件が明らかになれば、起訴後に保釈される可能性があります。
起訴した当日に保釈が許されることもあります。

起訴された後は、公開の法廷で裁判を受けることになります。
Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があるでしょう。
そのためには、Aさんが再び薬物犯罪に手を染めないであろうということを、裁判官に納得してもらう必要があります。
そのためには、保釈後、薬物依存の治療プログラムを受けたり、信頼できる身元引受人に保釈中の生活について法廷で証言してもらうなどして、再犯防止に努めていることをアピールすると効果的です。

(保釈とはどういう制度か?)
保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、Aさんの勾留を解く手続です。
保釈許可決定が出ると、保釈保証金を支払うことにより、外に出ることができます。
支払った保釈保証金は、無事に事件が解決すれば返ってきます。
保釈保証金を用意できない場合は、立て替えてもらえる機関も存在するので、弁護士に相談してみましょう。

反対に、保釈中に逃亡したり、罪証隠滅行為を行うなどすると、保釈が取り消され、納付した保釈保証金を没取されてしまうおそれがあります。
保釈を実現した後は、自省を深め、うかつな行動をとらないよう気をつける必要があります。

~執行猶予付き判決の獲得~

言うまでもなく、ケースにおいてAさんが行った犯罪は許されるものではありません。
しかし、Aさんが初犯であることが前提ですが、執行猶予付き判決を獲得しやすい部類の犯罪ともいえます。
執行猶予付き判決を獲得できれば、そのまま日常生活に戻ることができます。
薬物依存の克服は険しい試みと思われますが、周りのサポートを受けながら、二度と薬物に手を出さないように努めていくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤取締法違反事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。