大麻の執行猶予期間が経過した後、税理士になれる?

2020-08-27

大麻執行猶予期間が経過した後、税理士になれるか、について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

~ケース~

私(ご相談者=Aさん)は大麻取締法違反(所持の罪)の前科を有しています。前科の内容は「懲役1年、3年間の執行猶予」で、4年前に執行猶予期間が経過しました。私は、執行猶予期間中に税理士試験を受験し合格しましたが、税理士となることはできるのでしょうか?
(フィクションです。)

税理士になるには?

税理士になるには(税理士としての業務を行うためには)、

① 税理士の資格を有すること(税理士法3条)
② 税理士名簿に氏名、生年月日等を登録すること(税理士登録すること)(税理士法18条)

が必要です。

「①税理士の資格(税理士法3条)」について

税理士法3条1項1号によると、「税理士試験を合格した者」については、

租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上を有すること

税理士の資格を取得するための条件としています。

さらに、税理士法4条では、仮に上記の要件を満たした場合でも税理士の資格を取得することができない事由(欠格事由)を10個挙げています。
このうちAさんが関係する規定は同条5号です。

(欠格条項)
税理士法
第四条 次の各号のいずれかに該当する該当する者は、前条の規定にかかわらず、税理士となる資格を有しない。

一~四 (略)
五 国税又は地方税に関する法律及びこの法律以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることができなくなった日から三年を経過しないもの
六~十 (略)

上記の規定をAさんのの場合に当てはめます。
まず、Aさんは大麻取締法違反(所持の罪)で「懲役1年 3年間の執行猶予」の有罪判決を受けたとのことです。大麻取締法違反は「この法律(税理士法)以外の法令」に当たります。また、「禁錮以上の刑」とは禁錮、懲役、死刑の刑罰を意味しています。したがって、Aさんは「この法律以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者」に当たります。
もっとも、Aさんは現在、3年の執行猶予期間が経過してからさらに4年が経過しているとのことです。この点、上記の規定では、(刑の)執行を受けることができなくなった日から3年を経過しない場合に税理士の資格を取得することができない、としているところ、Aさんは4年を経過しています。

以上より、Aさんの場合、税理法4条5号(欠格条項(事由))に当たらず

租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上を有すること

という条件をクリアすれば、税理士の資格を取得することは可能です。

「②税理士登録すること(税理士法18条)」について

税理士になるには、①税理士の資格を取得することに加えて、登録申請書を税理士会を経由して日本税理士会連合会へ提出し、同会に備え付けられている税理士名簿に税理士登録することが必要です(税理士法18条、19条、21条、22条参照)。

(登録)
税理士法
第十八条 税理士となる資格を有する者が、税理士となるには、税理士名簿に、(略)、氏名、生年月日、(略)の登録を受けなければならない。

(税理士名簿)
税理士法
第十九条
1 税理士名簿は、日本税理士会連合会に備える。
2 税理士名簿の登録は、日本税理士会連合会が行う。
3 (略)

(登録の申請)
税理士法
第二十一条
第十八条の規定による登録を受けようとする者は、同条に規定する事項その他の財務省令で定める事項を記載した登録申請書を、(略)税理士会を経由して、日本税理士会連合会に提出しなければならない。

(登録に関する決定)
税理士法
第二十二条
日本税理士会連合会は、前条第一項の規定による登録申請書を受理した場合においては、当該申請者が税理士となる資格を有し、かつ、第二十四条各号のいずれにも該当しない者であると認めたときは税理士名簿に登録し、当該申請者が税理士となる資格を有せず、又は同条各号のいずれかに該当する者であると認めたときは登録を拒否しなければならない。この場合において、次条第一項の規定による通知に係る者につき登録をしようとするとき、又は登録を拒否しようとするときは、第四十九条の十六に規定する資格審査会の議決に基づいてしなければならない。

税理士法22条からすると、Aさんが税理士となるためには、税理士法24条各号のいずれにも該当しないことが必要のようです。
そこで、税理士法24条の中からAさんに関係する規定を探してみますと、Aさんについては六号のロに該当するかどうかを検討しなければならないこと分かります。

(登録拒否事由)
税理士法
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、税理士の登録を受けることができない。

一~五 (略)
六 次のイからロのいずれかに該当し、税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者
 イ 心身に故障があるとき。
 ロ 第四条第三号から第十号までのいずれかに該当していた者が当該各号に規定する日から当該各号に規定する年数を経過して登録の申請をしたとき。
七 (略)

なぜなら、Aさんは「当該各号に規定する年数」つまり「3年」を経過して登録の申請をする場合に当たるからです。そこで、Aさんが税理士登録を受ける、つまり、税理士になるためにはAさんが「税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者」であるかどうかが問題となります

「税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者」は誰が、どう判断?

Aさんが「税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者」であるかどうかの判断は、日本税理士連合会請求に基づき「資格審査会」が行います(税理士法49条の16第2項)。
そして、税理士法基本通達によって「税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者」かどうかの判断基準を次のように定めています。

(税理士業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者の判定)
24-7

過去における当該申請者の非行の性質や内容、当該非行からの経過期間、その間における本人の反省や謹慎の具体的状況等を総合的に勘案して判定ものとする。
なお、単に税理士法第4条ぢあ4号から第11号までに規定する年数が経過したことのみをもって、当該登録拒否事由に該当しないと判定することがないようにする。

以上から、Aさんが税理士登録できるかどうか、税理士になれるかどうかは、

☑ 非行の性質や内容
☑ 当該非行からの経過期間
☑ その間における本人の反省や謹慎の具体的状況

などをみて判断される、ということになります。

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