危険ドラッグ所持と違法性の認識

2020-01-17

危険ドラッグ所持と違法性の認識について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が説明します。

~ケース~

兵庫県南あわじ市在住のAさんは、友人からいわゆる危険ドラッグの購入を勧められた。
Aさんは、当初は購入を拒んだが、友人から「これは海外ではリラックス効果のあるアロマとして販売されており、日本での使用や所持は禁止されていないから大丈夫だ」といわれ、その言葉を信じ、危険ドラッグを購入することにした。
後日、Aさんは法律上禁止された危険ドラッグを購入したとして、兵庫県南あわじ警察署に逮捕されてしまった。
Aさんは、購入したのは単なるアロマだと思っていた以上、犯罪にはならないと主張している。
(フィクションです。)

~危険ドラッグについて~

「危険ドラッグ」や「脱法ドラッグ」といった言葉には法律上明確な定義があるわけではなく、どのような薬物が対象となるのかは明確ではありません。
もっとも、「危険ドラッグ」や「脱法ドラッグ」と呼ばれる薬物は、身体に影響がないわけではなく、大麻や麻薬、覚せい剤と同じ成分が含まれており、薬物によっては麻薬や覚せい剤よりも身体に悪影響を与えるおそれのあるものもあります。

このような「危険ドラッグ」や「脱法ドラッグ」については、医薬品医療機器等法に基づいて指定されているものが多く、医療等の用途以外の用に供するための、指定薬物の製造・購入・販売・所持・使用・輸入・授与・譲受が処罰の対象となります。
上記のような行為を行った場合には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらが併科されるおそれがあります。

~違法性の認識・故意について~

上記の事例でのAさんは、購入した危険ドラッグは指定薬物として購入や所持が禁止されていないと考えて購入しています。
そのため、Aさんには危険ドラッグの購入、所持について違法性の認識がないと主張することが考えられます。

しかし、犯罪が成立するためには、違法性の認識は必要ないとされています(刑法38条3項:「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減刑することができる」)
学説でも、一般的には違法性の認識がなくとも、違法性の認識の可能性が認められれば良いと考えられています。

仮にある行為が犯罪になることを知らなかった場合であっても、法律を確認したり、官公庁に問い合わせるなどすれば、当該行為が犯罪になることを確認することが可能といえることから、違法性の認識の可能性は否定されません。

もっとも、裁判例では、違法薬物であるとの認識が未必的でさえなかったのであれば、故意がないとして無罪となっていますので、犯罪になるかどうかを知っていたかは故意の判断で重要となっています。

確かに、Aさんは危険ドラッグの購入の際に、売人の友人から「日本での使用や所持は禁止されていないから大丈夫だ」と言われ、その言葉を信じて指定薬物である危険ドラッグを購入しています。
もっとも、Aさんは、当初は購入を拒んでいたうえ、友人は医師や弁護士などの専門家ではなく、Aさんは危険ドラッグの購入に際し、官公庁などへの問い合わせも行わずに友人の話を信用しています。
そのため、Aさんは友人からの不確かな情報を信じて、法律上禁止された薬物かもしれないと考えて、指定薬物である危険ドラッグを購入したといえ、故意があったとされるでしょう。

このように、上記事例のAさんのように、アロマとして購入したものが指定薬物であったとしても、犯罪が成立しないとはいえず、医薬品医療機器法によって処罰されてしまうおそれがあります。
一方で、これまで問題なく購入していたとか、他の有名な小売店が輸入していたことを聞いていたなどの事情があれば、法律上禁止されていた薬物と認識しようがなかったといえ、故意が否定され、犯罪は成立しないでしょう。

危険ドラッグなどの指定薬物については、お香やアロマ、ハーブといった名称で販売されていることも多く、指定薬物であることが一見してわからないようになっています。
そのため、一般の人であっても知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれてしまうおそれがあります。
仮に指定薬物と知らずに購入してしまった場合には、弁護士を通じて、購入時に指定薬物であることを知らなかったことを警察などの捜査機関や裁判所に適切に主張する必要がありますので、できる限り早期に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件を専門とした弁護士であり、危険ドラッグなど薬物事件の逮捕や取調べのご相談も受け付けています。
薬物事件についてお悩みの方は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください。
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