覚醒剤所持・使用事件の弁護活動

2021-08-12

今回は、覚醒剤所持・使用被告事件において執行猶予付き判決の獲得を目指す弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aさんは、覚醒剤所持・使用の疑いで逮捕され、同じく所持・使用の公訴事実につき、●地方裁判所へ起訴されました。
捜査段階から勾留されており、現在も留置場で生活しています。
既にAさんは私選弁護人を選任しており、第一回公判期日を数日後に控えています。
Aさんは実刑判決を何としても回避したいと考えています。(フィクションです)

~覚醒剤の所持・使用罪~

当然ですが、法定の除外事由なく覚醒剤を所持・使用する行為は犯罪です。

●覚醒剤取締法第41条の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。

●覚醒剤取締法第41条の3 次の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者

●覚醒剤取締法第19条 次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
一 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
二 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
三 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
四 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
五 法令に基づいてする行為につき使用する場合

~起訴後の弁護活動~

(保釈の実現)
Aさんが初犯であり、覚醒剤を所持、使用していたというだけであれば、保釈を実現できる可能性も見込めます。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈請求は起訴後に可能となります。
そのため、起訴される前においては、保釈請求とは異なる弁護活動が必要となります。

保釈を実現することは、身体拘束がもたらす心身への悪影響を回避するためだけでなく、後述する弁護活動(専門的な薬物依存治療プログラムの開始、薬物依存からの脱却をサポートする団体の支援を受けるなど)を実現するためにも極めて重要です。

(公判における弁護活動)
Aさんが覚醒剤所持・使用行為について認めており、起訴された罪名も覚醒剤の所持・使用だけであれば、通常、裁判が長引くことはありません。

Aさんは実刑判決の回避を強く希望しています。
この場合は、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが第一となります。
執行猶予付き判決を獲得するためには、Aさんが社会に戻っても、再び薬物犯罪に手を染めることはない、ということを裁判官に納得してもらう必要があります。
そのためには、Aさんが再犯防止に努めていることを効果的にアピールすることが大変重要となります。

(再犯防止に努めていることを効果的にアピールするためには?)
信頼できる身元引受人(Aさんの家族など)を用意し、責任をもってAさんを監督することを法廷で証言してもらうことが考えられます。
捜査段階における身柄解放活動や、保釈請求の段階ですでに身元引受人を用意していることも多いでしょう。
また、専門的な薬物依存の治療プログラムを開始したり、薬物依存からの脱却をサポートする団体を利用することも考えられます。

Aさんには私選弁護人がいるので、上記のようなサポートを受けることができます。
弁護士を依頼するタイミングは早ければ早いほど、実施可能な弁護活動が増えることになります。
覚醒剤所持・使用の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚醒剤所持・使用の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。