覚醒剤所持・使用事件の再犯防止をサポートする弁護士

2021-10-21

今回は、覚醒剤所持・使用の公訴事実により起訴された被告人の再犯防止活動をサポートする弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、自宅で覚醒剤を保管し、使用していたとして、覚醒剤所持・使用の公訴事実により●●地方裁判所に起訴されています。
Aさんは現在も勾留されていますが、初犯であり、前科・前歴はありません。
なるべく有利な判決を獲得し事件を解決したいと考えていますが、どのような弁護活動が想定されるのでしょうか。(フィクションです)

~起訴されているAさんの犯罪について解説~

(覚醒剤所持罪)
覚醒剤取締法第41条の2第1項は、覚醒剤をみだりに所持する行為につき、10年以下の懲役を予定しています。

「所持」とは、覚醒剤に対する事実上の実力支配関係をいいます。
覚醒剤を自身が直接手にしている必要はなく、社会通念上本人の実力支配、管理の及ぶ場所に保管していれば足り、自宅に覚醒剤を保管している場合などは通常、「所持」に該当します。

※覚醒剤取締法
第四十一条の二 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。

(覚醒剤使用罪)
覚醒剤使用罪は、覚醒剤取締法第19条に違反して、覚醒剤を使用する犯罪です(覚醒剤取締法第41条の3第1項1号)。

自身に注射、経口投与、吸入する行為が「使用」の典型例です。
通常、覚醒剤使用の動機は「薬理作用を得ること」ですが、動機はこれに限定されておらず、例えば、警察官に職務質問された際に、覚醒剤を隠滅する目的でとっさに飲み込む行為も「使用」に該当します。

※覚醒剤取締法
第四十一条の三 次の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者

~有利な事件解決を目指す弁護活動~

Aさんは初犯であり、他に前科・前歴もありません。
公訴事実が覚醒剤所持・使用だけであれば、適切な弁護活動を行うことにより、執行猶予付き判決を獲得できる可能性もあります。
執行猶予付き判決を獲得できれば、直ちに刑務所に収容されることはありません。
ケースの場合は、執行猶予付き判決の獲得がもっとも有利な事件解決像ということができると考えられます。

当然ですが、執行猶予付き判決を獲得するためには、Aさんがこのまま社会に戻っても、再び薬物に手を染めないであろうということ、再犯防止に努めていることなどを裁判官に納得してもらう必要があります。

(信頼できる身元引受人の用意)
覚醒剤事案の再犯率は非常に高く、いかに薬物を断ち切ることが難しいかを物語っています。
Aさんも1人だけで薬物を断つのは非常に困難であり、裁判官もこのような点を危惧しているでしょう。
このような場合は、信頼できるAさんの親族に身元引受人となってもらい、責任をもってAさんを監督する旨を法廷にて証言してもらうことが考えられます。

(薬物依存治療プログラムの開始)
薬物依存の治療を行っている精神科などを受診し、治療を受けることによって、再犯防止に努めていることをアピールすることが考えられます。
ただし、Aさんは現在勾留されているので、このままでは薬物依存治療プログラムを開始できません。
そのため、保釈を実現し、外に出ることが必要です。
保釈の請求にあたっては、法律の専門家である弁護士の力が役に立ちます。

(自助グループへの参加)
薬物依存からの脱却を目指す自助グループが存在します。
このようなグループに入り、再犯防止に取り組むことも想定されるでしょう。

~最後に~

上記は弁護活動の一環として紹介しましたが、事件が終了したあと、真に薬物を断ち切り、社会復帰することが何よりも重要です。
再び覚醒剤や違法薬物に手を出してしまうと、次は実刑判決となる可能性が高いでしょう。
事件が解決した後も、医療機関や自助グループなどを上手く活用し、再犯防止に取り組むことが重要であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚醒剤所持・使用の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。