毒物及び劇物取締法違反(シンナー所持)で逮捕・勾留後の弁護活動

2021-06-24

シンナーを所持していたとして毒物及び劇物取締法違反で逮捕されてしまった事例を題材に、勾留後の弁護活動等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは自身が所有している自動車内で、吸引する目的を持ってシンナーを所持していた。
新宿警察署の警察官は、Aを毒物及び劇物取締法違反の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~毒物及び劇物取締法~

本件でAは、吸引する目的でシンナーを所持していたとして逮捕されてしまいました。
一般に薬物事件というと、覚醒剤取締法や大麻取締法などが取締法規として想起されますが、毒物及び劇物取締法も違法薬物に関する取締規制を置いています。
劇物及び劇物取締法をみると、同法3条の3は、「興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物(これらを含有する物を含む。)であつて政令で定めるものは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持してはならない」と定めています。
そして、ここでいう「政令で定めるもの」として、毒物及び劇物取締法施行令が32条の2においてシンナーをその取締対象としています。
したがって、シンナーを「吸引……の目的で所持」していた場合には、上記法3条の3違反として「2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(法24条の2第1号)と定める罰則の対象になるのです。

~勾留後の弁護活動~

(毒物及び劇物取締法違反を含む)薬物事件は、逮捕後に勾留される可能性の高い事件類型とされています。
この勾留の期間は勾留請求の日から10日間とされ、やむを得ない事由があるときにはさらに10日間までの勾留の延長が可能です。
つまり、逮捕後に勾留が認められると、(逮捕期間に加えて)最初の勾留と合わせて最大で20日間の身体拘束がなされることになります。
このような短いとは言いがたい身体拘束期間は、勾留されてしまった被疑者の社会生活等にも少なくない打撃を与えるものと言わざるを得ません。
したがって弁護士としては、勾留(やその後の勾留の延長)を争う弁護活動を行うことが考えられます。

このような勾留(決定)を争う方法として、刑事訴訟法429条1項2号に基づく準抗告というものがあります。
これは裁判官による勾留決定対する不服の申立てであり、(勾留の理由・必要性があるとした裁判官の判断に対し)勾留の理由・必要性がないと主張し決定を争うことになります。
具体的には、刑事訴訟法60条1項・207条1項が規定する勾留の理由がないと争うことが考えられます。
実務においては、特に2号の規定する「罪証隠滅をすると疑うに足りる相当な理由」があるかどうかが最大の争点となります。
したがって、勾留決定を争う弁護士としては、裁判官の判断が抽象的なものにすぎないかどうかをしっかり吟味した上で、罪証隠滅の可能性がないこと(あるいは極めて低いこと)を事案に即して具体的に検討する必要があります。
また、仮に上記勾留の理由が認められるとしても、勾留の必要性がない場合には勾留は認められないため、勾留の必要性についても争う必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,シンナーの所持などの薬物事件を含む刑事事件を専門として取り扱っている法律事務所です。
薬物事件の弁護活動を多数有する弁護士が、迅速な弁護活動を承っております。
毒物及び劇物取締法違反事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。